Ep33.不信の記憶 ページ33
────すごく、ものすごく嫌な感じがする。
誰がどう考えたって、私の顬をぶち抜こうとこちらを向いているのは、実弾の込められた銃火器であるに違いないからだ。
この状況で、そうでないなら一体何だというのか。別の可能性を考える方が難しいわ。
問題はこの銃の持ち主。キールではない、彼女はまだ私の視界の真ん中にいる。
私を殺したい人間、私を始末するに値する人間。
見たくない見たくないと駄々をこねる理性に反して、私の脳の本能的な部分は、相手を確かめるべく反射的に視線を向けてしまった。
そして後悔した。うわぁ見なきゃ良かった。
腹の底からせり上がってくる不気味な感覚と恐怖感に、もはや一周まわって溜め息をついてしまった。
拳銃の持ち主はそんな私を見て、一種威厳のある声音でこんな皮肉を言い放った。
「随分と早い帰りじゃねぇか……、今度はどこをほっつき歩いてやがった……?」
「…………いや、その……」
銀色の眼光に貫かれて目を逸らす。
逸らした先でようやく、自分が今二つの照準の上にいることを知った。
そして同時に、先程の「あなたらしくない」というセリフは、この程度の思惑を見抜けない私に対してだったということを理解した。
「……つまり、初めにキールを出したのは私を油断させるため……?」
「だが、こうもあっさり通用する予定は無かったんだぜ……? テメェがこの程度のことを読んでいないハズがねェからな……今度は何を企んでいる?」
「か、……買い被りじゃないかしら。……ジン」
そう両手をひらひらしながら、これホントにどうしよう……と頭の中に鳴り響く警告のサイレンに絶望を覚える。死ぬしかない。
「っていうかバーボンにも同じ事言われたし……何を企んでるかって? ……何も企んでなんかないと言ったら信じる?」
「無理ね」
「無ぇな」
(相当信用ないよ私!!!!)
ジンどころかキールまでもが間髪入れずに即答。若干キールの方が早かった。
「テメェは問題行動も多いがムカつくほど有能だった……が、近頃はあのお方も腹に据えかねているそうだ……」
耳元の拳銃がカチリと微かに鳴く。催促して急かすように。
「だがオレは優しいからなァ……死に方くらい特別に選ばせてやるさ。今この場で撃たれ死ぬか、ガス室で苦しみ藻掻いて死ぬか。────10秒以内に決めろ」
あのね。今10人にアンケート取ったら、10人がこう言うと思うの。
"それは優しいとは言わない。"
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もこ - 面白い (10月11日 17時) (レス) id: 67135257cc (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ののいろ系女子さん» ここで……終わってしまいました!<(・`-・`)>バーン ありがとうございます!そうですね、次はちゃんと(?)トリップものにしようかと考えています。よかったら次もよろしくお願いします! (2019年2月6日 19時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます!こんな打ち切りみたいな終わり方でいいんだろうか……と思っていたのですが、楽しんで頂けたなら良かったです! (2019年2月6日 19時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - ここで!?でも、これはこれで結構良いわぁ!←何様 黒の組織エンド最高でした!次の作品は、トリップか転生物が見たいなぁって。てへ( ^∀^)← (2019年2月4日 19時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 黒の組織エンドめっちゃいいです!最後まで楽しませていただきました!完結おめでとうございます! (2019年2月1日 8時) (レス) id: f6af1829c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2018年7月28日 19時