記憶喪失はフリじゃないんですよ。【名探偵コナン】

Ep4.警察の記憶 ページ4

(……にしても簡潔すぎやしませんかね)

吃驚仰天、と言わんばかりの目をまともに喰らい居心地悪く視線を逸らした。


「き、記憶喪失ゥ！？」

「あんまでっかい声で叫ぶなや！」

「大変やんか！ それでそれで？ どないすんの？」

「せやから警察に……」

「やだ」

「……らしいで？」

「あんなぁ姉ちゃん、ワガママゆーとる場合ちゃうで」

「いや、無理」

「どないする平次？」

「何がや？」


変わらず拒否し続けていると、二人は顔を見合わせて爆弾発言をかました。


「アタシらのオトン、警察やろ」

「……せやな」



……あっ、


あーーー！！！！そうでした！！！！！

この二人、大阪府警本部長と刑事部部長の関係者じゃん！！！



……えっ、詰んでる……？ 詰んでる……



「あっじゃあすみません私はこれで」

「ちょお待てや」

「すみません無理です」

「いや、」

「お世話になりました」

「待てっちゅーねん！」


逃げようにも反対側に腕を引っ張られて泣く泣く諦める。ああ、さよなら私の平穏()な日々……

これからどうするものかと尋ねられ、「手掛かりを探します」と答えると、高校生探偵の目がキラリと光った。


「せやったら尚更、オレに任しとき。 手掛かり探すんは探偵の本分や」



＿＿＿＿＿＿＿



いや、もちろんめっちゃ断ったよ。

でもね。大阪人の推しの強さなめてた。


＿＿＿＿＿＿＿



「お、おじゃましまーす……？」

「オカン、帰ったでー」

「久し振りやなあ。平次ん家来んの」



服 部 家 に 連 行 。


どうしてこうなった。どうしてだ。この野郎。


なんだこの屋敷！！ 大名か！！ 寝殿造か！！

日本家屋とかそんなんじゃねえよ、屋敷だよ！！



引き戸の玄関扉を潜ると、奥から女性が出てくる様子が伺えた。

服部静華さん。服部家のおかん。コナンも「美人」って言ってただけあって、綺麗な人だ。


「まあ和葉ちゃん、うちに来はるなんて久々やなァ。そちらのお嬢さんは？」


仕草も女性らしく淑やかで、穏やかな口調。私を見て不思議そうな表情を見せたものの、怪訝な様子は欠片とも受け取れなかった。

「ああ、東京の方の知り合いや。こっち遊びに来たっちゅうから」

そう言って「合わせろ」と目で合図してくる。まあキャリーケース持ってる時点でそう言うしかないもんな。

あと私いまめっちゃハラハラしてます。家出娘だと思われて通報されたら終わる。死ぬ。


幸い、そんな事にはならなかったようだけど。

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