Ep3.名探偵の記憶 ページ3
咄嗟にそう口走ると、服部平次は怪訝そうに眉をひそめた。探偵の目、ってやつか。
さすがは西の高校生探偵、そして工藤新一のライバル。
「駄目やと？」
「ダメです。断固拒否です」
「ほんなら理由は」
「警察アレルギーなので」
「あるかいそんなもん！」
「ちっ……バレましたか」
「自分ホンマは記憶あるやろ？」
「それが無いんですよ、どうしましょうね？」
「…………」
「今『なんやこいつ』って思ったでしょ」
「いや……まあ、アンタがマイペースやっちゅう事はよーく分かったわ」
それな。
我ながら鋼メンタル。
自分が何者かも分からなくなった人間の思考を、理解できるとまで言わないが誰にだって想像はできる。
拠り所もなく、取り巻く全ての意味が分からず、果てしなく孤独で不安定なのだろう、と。
ただ私の場合、そんな状況に陥りそうになった瞬間、目の前に見知った顔が現れてくれたものだから、少なくとも「これは夢じゃないのだろうか」という疑問があるうちは錯乱せずに済みそうだ。
「あんなぁ、せやけど警察行かなどうにもならんで。今から自分がどこ行くつもりやったんか、思い出せるんか？」
「無理」
「無理やろ？ 無理やったら大人しくそこの交番────」
「やだ」
「何やねんこいつ！」
子供を諭すように言われたって、無理なものは無理だ。あなたの戸籍はありませんなんて言われたらどうすればいいんだ。怖いだろうが。
問題を後回しにしているだけなのは分かるが、今はその現実を受け止められる感じの精神状態ではない。
念の為言っておくが、今現在も尚混乱しているのだから。
しばらくそうやってごねていると、次の瞬間、服部が「あだっ！」と悲鳴を上げながら頭を抱えた。
驚いて目を向ける。すると、これまた見知った顔の少女が仏頂面で利き腕を振り切っていたのだ。
「何しとんの、平次？ ナンパ？」
「な……っにすんのや和葉！ んな訳あるか！」
私の知る限り、彼女は遠山和葉────服部の幼馴染みで、やはり「名探偵コナン」の登場人物。
合気道を習っていて、いつも持ち歩いているお守りには思い出の鎖の欠片が入っている。
「覚えてる……、のに」
「なんや、なんか思い出したか！？」
「え？ 思い出したって何？」
「あ、いや、すみません。そういう訳では……」
「そーか。ホンマに何も思い出せへん？」
「ちょ……平次、この人なんなん？」
袖を引っ張る彼女に、服部は「記憶喪失や」簡潔に答えた。
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もこ - 面白い (10月11日 17時) (
レス) id: 67135257cc (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ののいろ系女子さん» ここで……終わってしまいました！<(・`-・`)>ﾊﾞｰﾝ ありがとうございます！そうですね、次はちゃんと(？)トリップものにしようかと考えています。よかったら次もよろしくお願いします！ (2019年2月6日 19時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます！こんな打ち切りみたいな終わり方でいいんだろうか……と思っていたのですが、楽しんで頂けたなら良かったです！ (2019年2月6日 19時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - ここで！？でも、これはこれで結構良いわぁ！←何様 黒の組織エンド最高でした！次の作品は、トリップか転生物が見たいなぁって。てへ( ＾∀＾)← (2019年2月4日 19時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 黒の組織エンドめっちゃいいです！最後まで楽しませていただきました！完結おめでとうございます！ (2019年2月1日 8時) (レス) id: f6af1829c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2018年7月28日 19時
