記憶喪失はフリじゃないんですよ。【名探偵コナン】

Ep20.電子遊戯の記憶 ページ20

────眼前に並んだ二つのゲーム画面。それぞれには、タイムとスコアが表示されていた。

何の、って？そりゃあもちろん……


「いい勝負だったね、今のレース」

「ま、オレの圧勝やけどな！」

得意顔で隣の運転席を見下ろす服部。絵面は大人気ないが、むくれているコナン君も実の所は高校生だ。

まあ、服部は普段からバイク乗りこなしてるから、その辺の感覚が有利にはたらいたのかな。

ちなみにここはショッピングモール内のアミューズメントコーナー。


「今のは調子が悪かったんだよ……」

「もう一戦やってもええで？ コナン君〜？」

「てめ……」

「じゃあ次は私でどう？」



ぽいっとコナン君をどかして(どいてくれたんだけど)、同じレーシングゲームの座席に座る。

車の運転なら覚えてる。まあ、それなりにやってやるか。


「あれ？ Aさんと服部くんが勝負？」

「ホンマや！ 見に行こ蘭ちゃん！」

「おかえり、二人とも」


プリクラ撮ってたエンジェルズが観戦に来た。

こりゃ頑張らなきゃねぇ。


「負けた方フードコートでアイス奢りね、人数分」

「おう、乗ったるわ……二言は無しやぞ？」

「……あ、うん……」

「自分で言うて尻込みすなや！」

「あはは、冗談冗談！」


ハンドルを握り、右足をアクセルに。

うまく走れるといいけど。カウントダウンに合わせて、アクセルを踏み切った。






「勝負だ服部イィィイ！！」

「んなっ！？」

「普通免許持ちなめんなァ！！」

「ちょちょちょ、荒ぶりすぎやでアンタ！！」

「Aさんってもしかして……」

「ハンドル握るとキャラ変わる人……？」

「ンなドリフトで走り屋名乗れると思うなよ！」

「名乗らへんわ！！」



＿＿＿＿＿
＿＿
＿



……負けた。


「あちゃー、負けちゃったァ。自信あったのにな」

「まあ……マリオカートだしね、コレ……」

「マリカって運転だけ上手けりゃ勝てるわけでもないのかぁ……で、服部。その疲れようは何？」

「胸に手ェ当てて考えや……」

「えっわかんない、アイス食べたい。和葉ちゃん蘭ちゃん、行こう！ 好きなの頼んで！」

「……なんや勝った気せぇへんわ……」

「……災難だったな、服部」



お昼時なので昼食を食べたあと、約束通り全員分のアイスを奢って、後は男女班分かれてショッピングにしようと賑やかに相談した。


あれ？ 昨日から私、甘いもの食べすぎ……？


……まだセーフ。まだセーフだろう。うん。

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