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Ep.47 かわいい子の方が ページ47

もう分かっているのだろう、私がこういう時なんと言うか。

そう。適当なことしか言わない。




「そうだったそうだった。うっかりしてたよ」


「…相変わらず妙な事を………」


「ちょ、ちょっと…………あなた達、知り合いなの!?」




傍から見ればただの談笑にふける私たちに哀ちゃんが、思わずと言った様子で顔色を変えた。

そういえば哀ちゃんは登場時から昴さんを嫌っていた……というか、潜入時の名残り(と本人の不審者オーラ)からか組織に関連があると疑っていたのだ。

まあしかしこの時期となれば、昴=赤井をなんとなく勘づいている頃だったろうか?バーボンがどうこうのくだりで現れた男だったから、バーボン疑惑が晴れた以上そんな怪しいもんでも……


否、怪しくはある。素で怪しい。




「全然?前にたまたま会ってちょっとお話しただけ」


「ほんの数分でしたし、また会えるとは思いませんでしたよ。僕は少々、君自身に興味もありますが……」


「あー、残念。今度にして。私かわいい子の方が好きなの」


「それは手厳しい。まあ、立ち話もこの辺りにしましょうか……、僕も朝刊を取りに来ただけですので」




……いや嘘つけよ。私を見て出てきたんだろ。大丈夫だ少なくともお前よりは怪しくないし危なくもないから。


興味があるのは発信器の件だろ。あれたまたま見つけてやり返しただけだから。





そんな訳で不審者眼鏡を追い払い、私はいよいよ阿笠邸へお邪魔することに。


玄関先を潜ると中も広く、やはり見た事のある研究室風の内装が広がっていた。いくつか部屋はあるように見えるが、少なくともリビングとキッチンはこの大きな広間にある。


感動して眺めるまでもなく、阿笠博士は正面のソファでニュースを見ながらコーヒーを飲んでいた。仕事前のブレイクタイムといったところか。




「博士!お客さんよ。」


「ん……?おお!あの時の!」


「どーも。ちょっと近くを通りがかって……」





こんな朝っぱらからの来客だというのに、博士は嬉しそうに笑った。


私をテレビ前のソファに通し、しばらくして哀ちゃんが煎れてくれた紅茶を飲みながら世間話に興じると、学校はどうじゃだの悩み事はないかだの心配ばかりしてくれる。


私が置いてきた本当のおじいちゃんのように。





(……………いや、何思い出してんだ)



「……大丈夫?」





はっとして顔を上げると、哀ちゃんがソファーの脇に立って私の顔を覗き込んでいた。

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chiroru...(プロフ) - めっちゃ素敵な小説でした!ファンになりました♡名探偵コナンで安室さんと怪盗キッドとの三角関係な小説を読んでみたいです!是非ご検討お願いします♡ (4月5日 20時) (レス) id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主のイラスト見ました! かっこいい! (2023年1月8日 0時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
- 内容がしっかりしてる! 夢主好き💚 (2023年1月8日 0時) (レス) @page10 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
茉佑(プロフ) - 絵上手くないっすか?うらやますぃ(´;ω;`) (2018年5月1日 23時) (レス) id: ff89d68923 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - あぁぁ…画力が神だぁ……画力わけてください、切実に…( ノД`)… (2018年4月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2017年9月11日 8時

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