【名探偵コナン】嘘をつくのが趣味なので。【トリップ】

Ep.44 要らないんだ ページ44

後ろを見るとちらほら黒服の身内や友達が会場をうろついたり挨拶をしていた。


その中で私の横──棺の前に立ったのは、学校でも一番の友達だ。うっつーはこの子と見た目も中身もどこか似ていて、それで仲良くなったのもあったのかな。



ここは、前の世界……？


こんなに見知った顔がたくさん。一瞬、懐かしいとさえ思った。



『……………………』






……なぜだか、苦しい。


頭が痛い。胸が詰まる。



もう戻れないのに、もうそこにはいないのに。


私はもう、帰らないのに。




『…………なんで、まだ……』




悲しくはない。私が選んだ道にそれくらいの責任感はある。


ただ、苦しい。

柔らかいタオルで首を絞められてるみたいに。

目の前の光景が焼き付く。






『もう要らないんだよ、こんな世界は…………』






終わった事なら、忘れたい。



向こうの世界のことなんて。私を知っていた人たちのことなんて。



こんなものはもう、過去のしがらみにすぎないから。





『私の……──桔梗 Aの邪魔をするな!!』








こんなにも卑怯で、酷くて、薄情な私なんかの───

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