Ep.5 お願いします ページ5
まあたぶん、冷静じゃなかったんだろう。
カウンター席に座ってからよくよく考えてみれば、会釈し返してから通り過ぎればよかっただけだ。住所は分かってるのだから、帰れなくもない。
でも心のどこかで……いや、ハッキリと意識的に、期待しているのだ。
…………退屈じゃない日々が、どこからか始まってくれないものかと。
ぼーっとメニューを眺めていると、カウンターの中の梓さんが目の前へ寄ってきているのが分かった。
「ご注文はお決まりですか？」
「……はい」
いやぁビックリ。だって何も考えていなかったもん。
あくまで平然とした態度でさりげなくメニューに目を落とす。もう決まっている注文を確認するように。
だってずっとメニューを見てて何も考えてないなんておかしいでしょ。やだよ初っ端から変な印象持たれるの。
「……アイスレモンティーと、スフレチーズケーキを」
「はい、かしこまりました！」
「お願いします」
目を細めて、できるだけ柔らかく笑って顔を上げた。
お、おおう……笑顔が眩しい…………。
梓さんが奥へ行ってから、私は改めて店内を見渡した。
お客さんはまばらで、なんとも落ち着いた雰囲気だ。他にいるのはほんの二、三人。
テーブル席で新聞を広げるおじさんなんかを見るといかにも純喫茶といった感じでなんだか面白く見えてくる。
次に店の奥を見た。今いるのは梓さんだけ。……バーボンこと安室さんはまだいないのか、たまたま休みなのか。
ん？ せっかくだからハムサンドでも注文しとけって？
そんな気分じゃないですよ。私ついさっき死んだからね。がっつりいく気になれないし別に安室さん推しじゃないんで( 'ω')
嫌いじゃないよ。うん、カッコイイよね正直。でも私コナンくん派だから。こらそこショタコンって言わない。
いいじゃん、一回「ねえ、お姉さん」って呼んでくれれば私はもうそれで満足だよ。もう命いらないよ。
「お待たせしました、レモンティーとチーズケーキです！」
「あ、どうも……」
「どうぞごゆっくりー」
気付いたら目の前にケーキが出されてた。危ない危ない、自分の世界にどっぷり浸かるところだった。
せっかくなんだからまずはこのケーキを楽しもう。おいしそうだしね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chiroru...(プロフ) - めっちゃ素敵な小説でした！ファンになりました♡名探偵コナンで安室さんと怪盗キッドとの三角関係な小説を読んでみたいです！是非ご検討お願いします♡ (4月5日 20時) (
レス) id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主のイラスト見ました！ かっこいい！ (2023年1月8日 0時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 内容がしっかりしてる！ 夢主好き💚 (2023年1月8日 0時) (レス) @page10 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
茉佑(プロフ) - 絵上手くないっすか？うらやますぃ(´；ω；`) (2018年5月1日 23時) (レス) id: ff89d68923 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - あぁぁ…画力が神だぁ……画力わけてください、切実に…( ノД`)… (2018年4月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2017年9月11日 8時
