【名探偵コナン】嘘をつくのが趣味なので。【トリップ】

Ep.32 見られないかもね ページ32

まあ確かこの回は水槽の亀を盗むっていうテーマで、結果的にはどうなったんだっけ？


……結果的……




はっ、と新聞を辿る目を止めた。



ブラッシュマーメイド……怪盗キッド…………

確か……、

……………世良ちゃんいたよね？



途端にその場を立ち上がる。当然驚いた安室さんが「どうかしましたか」と首をかしげて尋ねて、私はニコリと笑って答える。




「明日行こうと思って！」



「え？ま、まさか宝石に興味が？」



「おいなんて失礼な顔をするんだアンタは」





きょとん、と心底予想外とでも言いたげな顔をされるが……確かに宝石に興味があるとは……言えないような……。


でも「世良真純に会いたいので」なんて言えるわけないだろう。


なぜ乗り気なのか、それは世良ちゃんが私の中でのコナン界ツートップをコナンくんと争っている存在だからだ。理由？わかるだろ、かわいいからさ。(デジャヴ)


しかもキッドキラーコナンくんも来るからね。その日鈴木大博物館は神の領域と化すんじゃないかな。





「こう見えてキッドファンのはしくれなので。………………っていう心にもない冗談は置いといて、こういうのフツーに好きなのよ。よく近所の博物館まで散歩〜、とかしてたし」




ちょっとこの嘘はとてもじゃないけど胸くそが悪いから早々に訂正。ちなみに博物館が好きなのは嘘じゃないが、そんなに特別好きなわけでもない。


せいぜい去年の校外学習で行った程度だが、ビッグジュエルとも呼ばれるほどの宝石があるなら普通、多少なりとも興味が湧くものだ。





「安室さんはどう？明日が公開初日で怪盗キッドの予告日だって」



「そうですね……興味はあるんですけど、残念ながら一日シフトが入ってまして……」



「あっそう、じゃあ安室さんの分も私が観てくるね。撮った亀の写真はあげないけどね。」



「えっ、見せてくれないんですか？もしかしたら二度と見られないかもしれないのに。」





冗談めかして笑うその顔を見ていると、さっきまでの厳しい空気なんてまるでなかったかのように感じてしまう。

なんだかんだぽやっとした雰囲気の方が気楽だしね。彼はどう考えてるか知らないけど私は気楽ですよ。ははは。




けど、事件の顛末を思い返してみれば……確かに二度と見られないかもね。



はい残念でした安室さん。

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