Ep.15 嫌な予感しか ページ15
ふと、ベッドの上で意識が戻った。
目を開ける前に昨日のことを思い出す。確か、帰ってきて、ご飯を食べて、お風呂に入って歯を磨いて…………普通に寝たのか。
ゆっくりとまぶたを開いて白いカーテンのついた窓を見る。日は青暗く射していて、どうやらまだ早朝と呼べる時間帯なのだろう。
見知った部屋ではなくて一瞬ぎょっとしたが、すぐに思い出した。そうだ、ここはいつもの世界じゃないんだった。
「……ふぁ…………」
誰もいないのをいいことに大あくびしながら寝室を出て洗面所へ向かった。
歯を磨いて、上下パジャマのまま冷蔵庫を開けた。昨日作った味噌汁の残りと、炊いておいたごはん。ありあわせの漬物に目玉焼きでも焼いておけば立派に朝食になるだろう。
食器棚にあったグラスに麦茶を注いで喉を潤し、フライパンを温めだした。
卵を落として、味噌汁を温めて、お皿を出して。
シンプルではあるが家具が充実しているので、思ったより普通の生活ができることに少しばかり安堵した。
どこを探しても同居人がいないのは寂しいが、それは仕方ない。私がこっちの人生を選んだのだから。
それでも人の声がしないことがいつもより落ち着かなくて、液晶テレビの電源を入れた。
早朝の時間帯だからか、リアルで鉄くさい事件のニュースばかりだった。
昨夜の火災、障害事件、電車の運行状況、殺人事件……
それでもどこか遠い風景に見えて、いつもより早くゆったりとした朝食を口に運び続けた。
「あ……この事件、米花町だ」
途中に流れたあるニュースで箸を止める。昨日の深夜に起こった通り魔事件だった。
被害者は若い女性、防犯カメラに映ったのは黒いキャップに黒いコート、普通体型の男……
犯行現場は薄暗い路地で、犯人はまだ逃走中だという。
普通に考えれば、こんなものはいつもの怖いニュースだ。
きっと近隣の学校には注意が行き渡っていて、警察もたくさん出ているだろうが、時たまあるちょっと危ない話に過ぎない。
だがこの世界じゃわけが違う。……だって私、コナンくんに会ってしまったもの。
コナンくんの知り合いはことごとく事件に遭遇、あるいは巻き込まれると決まってるのだ。
「……えっ、嫌な予感しかしないんだけど」
お生憎私はこの世界を外から眺めていた第三者なので、その前に察しをつけることが出来た。
……外出は大通りに決定だな。
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chiroru...(プロフ) - めっちゃ素敵な小説でした!ファンになりました♡名探偵コナンで安室さんと怪盗キッドとの三角関係な小説を読んでみたいです!是非ご検討お願いします♡ (4月5日 20時) (レス) id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主のイラスト見ました! かっこいい! (2023年1月8日 0時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 内容がしっかりしてる! 夢主好き💚 (2023年1月8日 0時) (レス) @page10 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
茉佑(プロフ) - 絵上手くないっすか?うらやますぃ(´;ω;`) (2018年5月1日 23時) (レス) id: ff89d68923 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - あぁぁ…画力が神だぁ……画力わけてください、切実に…( ノД`)… (2018年4月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2017年9月11日 8時