Ep.14 解いてみて、名探偵 ページ14
「さて、そろそろ着くぞ!」
博士の言葉に前を見てみれば、外出前に見た時より影の長くなった見覚えある街並みだった。
「あ、ホントだ。ありがとうございます、こんな所まで」
「いやいや、例には及ばんよ。わしも帰るところじゃったしの」
「いえ、本当に……あ、そうだ。お礼にどうぞ、お嫌いでなければ」
手元にある袋を漁り、缶コーヒーと野菜ジュースの缶を出した。
もちろんさっき自販機で買ったものだ。博士にコーヒー、コナンくんに野菜ジュースをと思ったが、それはそれでおかしいな……?
オレンジジュースを買えばよかったか……と今更ながらに思う。
「…………、」
しかし少し考えて、私は"博士に"野菜ジュースを渡した。
後ろはあえて見なかったが、一体今彼はどんな目で私を見ているのだろう。
「おお、こりゃあありがたい!」
「こんなもので申し訳ないんですけど……本当にありがとうございました」
車を降りて、開いてる後部座席の窓から「はい、どうぞ」と缶コーヒーを差し出した。
あの無邪気な笑顔は無い。あるのは、探るような眼光だけだ。
「…………ありがとう、お姉さん」
「またね。……コナンくん」
トランクから荷物を取って、玄関前に一度置く。最後に米を足元においてビートルのトランクを閉めた。
最後にもう一度頭を下げる。
発車した車は少しして角を曲がり見えなくなった。
それを確認してから荷物を持って家へ入る。
二人のおかげで大量の買い物を一気に果たせた。まったくもって私の運と彼らの人が良すぎたとしか言えないな。
手早にジュースや牛乳なんかを冷蔵庫にしまっていると、お気に入りでいつも買っている缶の紅茶を手に取った。
不意にコナンくんの目を思い出す。
……最後に、彼に缶コーヒーを渡した理由。それはある種「挑戦」だ。
真相の見えない謎を解き明かすのが探偵なら、君が解いてみろとね。
けれど私はミステリーでいう、いわばタブーと同種。
ヒントのない隠し部屋や超能力や幽霊と何ら変わらない同一の存在なのだ。
だからこれは卑怯な挑戦。正しくない謎。
彼の中にあるはずのない解答こそが、私の素性にほかならない。
でも──
「私の正体、解けるもんなら解いてみて。名探偵」
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chiroru...(プロフ) - めっちゃ素敵な小説でした!ファンになりました♡名探偵コナンで安室さんと怪盗キッドとの三角関係な小説を読んでみたいです!是非ご検討お願いします♡ (4月5日 20時) (レス) id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主のイラスト見ました! かっこいい! (2023年1月8日 0時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 内容がしっかりしてる! 夢主好き💚 (2023年1月8日 0時) (レス) @page10 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
茉佑(プロフ) - 絵上手くないっすか?うらやますぃ(´;ω;`) (2018年5月1日 23時) (レス) id: ff89d68923 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - あぁぁ…画力が神だぁ……画力わけてください、切実に…( ノД`)… (2018年4月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2017年9月11日 8時