【名探偵コナン】嘘をつくのが趣味なので。【トリップ】

Ep.13 キミのこと好きだから ページ13

「この住所って、探偵事務所の裏手じゃない？」



「探偵事務所……？」



「おお、毛利くんとこのか！ 確かにちょうど事務所の裏側じゃのぉ……」



どうやらカーナビは必要なさそうじゃ！と笑う博士。


対して私は唖然としていた。


コナンくんの家が近いことに？いやいや。





えっ…………私さんざん迷ったのに……？



小一時間うろついた挙句、おまわりさんの助けを借りてスタート地点の裏側に戻ってきてたの？



嘘だろ……どっと疲れた……。





「はあ……そうだったのか…………」



「ボク、今はここの『毛利探偵事務所』に住んでるんだ！」



「そ、そっか……。私今日、その下のポアロに行ってきたよ……」



「……ポアロに？」



「ケーキが美味しかった」




振り返ってコナンくんの顔を見る。



……ポアロ、という単語を出しただけだ。それなのにそんな顔するなんてね。





「どしたの、コナンくん？ポアロに危ない人(・・・・)でもいるの？」



「えっ！？ そ、そういうわけじゃないけど……」





そう言って笑って誤魔化す。


まったく、わかりやすい名探偵だな……。そこがまた好きなんだけどね。


この反応を見る限り安室さんは現時点で、ただの"バーボン"ということだろうか。


ベルツリー急行でいざこざがあった後。でも、彼の本当の正体にはまだ勘づいてもいない。


まあ原作でいうとだいたい……、





「……ねえ、お姉さん。ボク、いつ名前言ったっけ？」




し ま っ た 。


本日二度目のやらかし。しかもただの凡ミス。


しかし凡ミスなだけに言い訳は簡単だ。




「知ってるよ。毛利探偵事務所のお手柄キッドキラーでしょ？ 私キミのこと好きだから」



「え？」



「新聞に載ってる写真の苦笑じみた顔が面白くてね」



「あ、あはは……そう……」







ほら、ね。ポーカーフェイス強いでしょ？



頭は良くないけど誤魔化すのは得意。



心が痛まない訳じゃ無いけど、嘘つかないと私が危ないからね……。



フラッシュバックするようにあの時の神様の言葉が耳に蘇る。









……バレるか打ち明けたら死ぬ運命、か……。

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