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先ほどカレーを食べたからか、ノリでお風呂を勧められてしまいお風呂上がりなう。
監督さんの洋服を借りる予定が、結局斑鳩が持ってきたパーカーになった。解せぬ。デカい。
「お風呂頂きました」
談話室に肝心の斑鳩や監督さんはおらず、首を傾げれば、臣さんがこちらへ歩み寄ってくる。
「髪乾かさないと風邪引くぞ?」
「いつも自然乾燥なんですよね〜」
「せめて水気を取るくらいしないか…」
女子だしな、と苦笑いを浮かべる臣さん。
こんにゃろ。女っぽくなくて悪かったな…。
「あれ、え、Aちゃんっスか!?」
「んえ?」
「風呂上がりで髪が濡れているからか…。後ろ姿が別人だな」
太一くんがあわあわと焦りながら私だと気づき目を見開く。その一方、丞さんは冷静に見ても私だと分からなかったらしい。
確かにいつもの私は猫毛で髪をぴょこぴょことハネさせている。今は濡れてぺたーとなっているが。
「やっぱAちゃんかかか…か、かわいいんスね…美少女…」
「美少女」
「自分で言うな…」
「まぁまぁ」
自分の顔は可もなく不可もなくって感じだけど、強いて言うならやっぱり髪が嫌いかなぁ。雨の日とか湿気でパラダイスだし。
「じゃ、私帰りますね」
「えっ」
「えっ」
「えっ?」
えっ?
「か、帰るのか?」
「え、はい」
「もうすぐ22時だが…」
「私もう20歳」
シャカシャカと適当に髪を拭いて荷物を持つ。
そこそこアパート近いし、平気っしょ。
「じゃあお邪魔しまし、」
「おっ?」
「お?」
金髪のスーツイケメンと玄関で鉢合わせる。
彼は私をじっと見つめた後、こんばんは、と微笑んだ。
「あ、どうも」
「誰かのお知り合い?」
「まぁそんなとこです」
「そっか」
イケメンだなぁ、弱そうだけど。色々と。
「あ、たるさんおかえりっス。って、Aさん帰るのか?」
「帰る」
「マジかよ」
ギョッと驚かれる。え?なに、帰ったらまずいの?
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作者名:タカツキ | 作成日時:2019年2月17日 15時