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63．密会 ページ17
コンコンコン。
部屋の窓を控えめにノックされ、元気な声で返事をする。
ゆっくりと開く窓に勢い任せに飛び入るひとつの影。
｢きゃっ…ってゾムさん危ないじゃないですか！｣
｢すまん。今日はなんか気分いいから調子乗ったわ｣
｢むぅ。ゾムさんが怪我したらどうするの｣
｢あ、心配なのそっちなんや｣
ここ数日、こうしてゾムさんが何故か窓から私の部屋へ訪れてくれる。
森から採ってきたというリンゴや城下町で買ってきた桃などの果物と一緒にたくさんの土産話を持って。
それが私の毎日の楽しみになりつつある。
｢当たり前でしょ！｣
｢やっぱ変なやつやなぁ…。今日はマスターが焼いたクッキー持ってきたから機嫌直してや｣
｢!! ミルク貰って来ますか！？｣
｢俺の分はいいよ。2人分持ってきてたら怪しまれるやろ｣
｢…じゃあ私もいいです｣
ゾムさんは2人だけの秘密だと言って何故か私の部屋に訪れることを誰にも明かしてはいけないと言う。
この間はグルッペンさんにバレそうになって慌ててゾムさんは帰るし、私の嘘は見抜かれるしで大変だったなぁ。
詳細はバレてないにしても、これから少しずつ怪しまれるだろうなぁ…。
｢ほんとーに俺のことは気にせんでいいのに。じゃあ食べよか｣
｢はーい！今日はどんな話をしてくれるんですかっ？｣
｢う〜ん…俺が森で出会ったでっかい犬についてとかどう？｣
｢聞きたい！！｣
｢んふふ、じゃあ話すか…あの日は雨が降っててな＿＿＿＿＿＿｣
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作者名：ななし | 作成日時：2017年3月26日 16時
