【実I況I者】それはきっと、【キIヨ】II

58．不運幸運？ ページ10

｢つわさんつわさん、そろそろお手を離しておくれ？｣

なんで好きな人の前でほかの人と手を繋がなくてはいけないんだ。
なんて気付いたのはさっき、ようやくの事。

思いっきりキヨに見られてた…！
あああ…違うんですキヨさま……。
私が好きなのはあなただけです！！

言えたら苦労しないよー！！！

｢ん？あ、ごめん。あったかくてつい｣

｢そ？まぁカイロ隠し持ってるからね｣

｢着物のくせに！？マジか、頂戴｣

｢仕方ないなー、ひとつあげる｣

ポンッ。
つわの手にカイロを乗せる。

｢何個持ってんだよ…｣

あ、引かれた。
私が寒がりだと知ってるくせに！
カイロはいくつあっても足りないんです。

｢じゃあそろそろ行く？｣

ぴーさんの質問にみんなが返す。
やっと初詣らしいことします！
神社へGO！



前からぴーさんレトさんの2列。
そしてその後に私とキヨ。
さらに後ろからつわが見守ってくれてる。

｢Aお前転ぶなよ？｣

｢転ばないよ！｣

つわにからかわれる。
フラグ立てちゃったじゃん！！
やめてよ！
キヨの前で転びたくない…。

｢フラグなんて怖くな……っ！｣

｢A！？｣

…言ったそばからもう目の前には地面が迫ってきてる。
どうやら石に躓いたみたいだ。
フラグ回収早いなー。
呑気にそんなこと考えながら目を瞑る。

＿＿＿＿＿＿あれ？

痛くない？
それになんか温かい？

目を開けると真っ暗。
頭がついていかない。
どうなってるのこれ？？

その景色は誰かの胸板だと理解した。
おお、助けられたのか！

…でもなんか…。
この人の心臓の音が聞こえてしまう。
とても早い。

｢ふぅ…。良かった、大丈夫？｣

あ。
上から声が聞こえる。
これはつわの声。
つまりまたつわに助けられたのか。

｢ありがとうつ……わ？｣

顔を上げて見えたのはつわ＿＿ではなく。
キヨだった。

｢…へ？｣

｢ありがとうキヨ君ソイツ助けてくれて｣

親のようにつわがキヨにお礼を言う。
キヨはそれに対してすこし素っ気なく、うん。と小声で返した。
わたしはゆっくりとキヨから離れる。

じゃなくて。
…え？
どゆこと？？

｢キヨが…助けてくれた、の？｣

｢そうだけど｣

…… 。


ああああああああああああああ！！！

やっちゃった！！
でもありがとう神様！！！

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