【実I況I者】それはきっと、【キIヨ】II

89．ざっくりと ページ40

｢＿＿＿＿なるほど。トイレに行って道に迷って姉さんの部屋にたどり着いた。そしたら姉さんが泣いていたから心配になって離れられなくなった。…ってことですか？｣

｢そ、そうそう！慰めようにも相手寝てるし…どうしていいか分からず俺も寝たって感じ！｣

｢まぁ、キヨさんを変に疑う訳にもいかないですし…とりあえずご飯にしましょうか｣

なんとかあの仏壇の事を話さずに切り抜けられたようだ。
宮都君が詮索しないでくれて助かった。

俺はあの後完璧に寝落ちした。
あれだけ部屋では寝れずに苦労して歩き回ったっていうのに…Aの手を握るとなぜかいきなり睡魔に襲われて、意識が飛んだ。

目が覚めたらあれだもんな…あまりの羞恥心で死ぬかと思ったわ。

簡潔にざっくりと所々掻い摘んで宮都君とAになぜ俺がここで寝ていたのかを話した。
もちろん話せない事もあったが…変な事が無かったっていう事実が伝えられたようで安堵している。



．


ところで。
さっきからAが目を合わせてくれない。
コイツが作ってくれた朝食、美味しいから素直にお礼を言ってみた。
それなのに目を背けて耳まで赤く染めて、ありがと。と小さく返すだけなんて。
耳を赤くするくらい怒ったのか！？
そりゃ好きでもない男に朝からあんなことされたらそうなるだろうけど！
流石に心が折れそうだ…！
折れないけどな！！

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