【実I況I者】それはきっと、【キIヨ】II

86．広い ページ37

｢キヨさん、俺明日朝早いんで寝ますね。おやすみなさい｣

｢あ、うん。泊めてくれて本当にありがとな、おやすみ｣

パタン。
宮都君の部屋の扉が閉められた。
何から何までお世話になってしまった…。
本当によくできた奴だな。
なんて思いながら自分も布団へはいる。
時刻はもうとっくに真夜中。
こんな時間まで姉を待って起きてる弟とか、そうそう居ないだろ。
改めて宮都君の凄さが分かったところで、部屋の電気を消して布団に潜った。

｢早く寝て…早く帰るか｣

時計の針の音を聞きながら、そっと目を閉じた。





ｶﾁ、ｶﾁ……。



寝れない。

パチリと目を開けて時計を確認する。
目を瞑ってから実に10分は経過している。
だがしかし、寝れそうにない。

｢くそ…はやく寝たいってのに｣

こんな状況から少しでもはやく抜け出したいってのに。
なぜ寝れないんだ！
もう1度、今度は先程よりもギュッと目を瞑った。
羊を数えてみるのもいいかもしれない。
1匹、2匹、3匹。。。

俺の安眠は突然襲いかかってきた尿意によって妨げられた。
すくっと立ち上がり、廊下に出る。
辺りをキョロキョロして気がついた。
トイレの場所聞いてねぇ！

この家無駄に広いからな…無事辿りつけるか不安だ……。
とりあえずテクテクと廊下を彷徨ってみる。
絶対一般的に考えて2人暮らしする家にしては広さじゃないだろ。
トイレ行くまでに迷うってなんだよ。

尿意に急かされイライラしながら廊下を進む。
そして｢WC｣と書かれた小さな看板を立てかけた扉を見つけた。
任務完了だな。

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