【実I況I者】それはきっと、【キIヨ】II

81．夢 ページ32

｢…あれ？……なにこの状況｣

目が覚めると私はよく見知ったベットに寝ていた。
いつも通りの場所、そして時間。
いつも通りじゃないことと言えば、ベットに伏せて私の手を握ったまま寝ているキヨくらいだろうか。

なにこれなにこれなにこれ…！？
どうなってるの！！？
昨日の飲み会からの記憶が無い…きれいさっぱり無い……！！

あまりの驚きにあたふたと慌てる私をよそに、キヨの手を握る力が少しだけギュッと強くなった。
そして余計に混乱する。

｢どうしてキヨがここに…？送って…くれたんだよね？つわに頼まれてたし…｣

そこから何がどうなってこうなったのか、まったくもって理解出来ない。
なのにこんな状況にも関わらず、自分の手がキヨの手と繋がれている事に嬉しさを感じずにはいられない。

｢…大きい、男の人の手だ｣

つわの手とはまた少し違う。
この手で頭を撫でてもらうってどんな感じなんだろう…。

じーっとその手を見つめていると、モゾ…とキヨが動いた。
小さく声を上げながら目を開く。
パチっと目が合うとお互い固まって動かなくなる。

だけど手は離さない。




そこで私はとある結論へとたどり着いた。

これは夢なんだ。
私が見ちゃってる都合のいい夢。

現実は私の部屋にキヨなんて居ないし、手を繋ぐなんてとんでもない。
私が望んだ未来を脳が勝手に作り出したものなんだと思う。

だから繋がれていないこの手を伸ばしてもきっと何も変わらない。
目が、覚めるだけ＿＿＿＿＿＿。

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