【実I況I者】それはきっと、【キIヨ】II

72．決心 ページ24

｢ッ……｣

目の前でつわはす君とAが無意識にイチャイチャするなか、俺はみんなと同じように、
目をそらさずにその光景を眺めていた。
そもそも彼女がこうしてつわはす君に怒られているのは紛れもなく俺のせい。
つまりこんなに嫉妬するのはお門違いのはずだから。

…でも、決めた。
目はそらさない。
もう逃げない。

｢あ、みんなちょっといいかな？この子紹介させて｣

気持ちよさそうに頭を撫でられたあと、彼女はクルッと振り返って宮都君の肩を掴んだ。

｢この子は宮都くん！私の弟です｣

｢はじめまして、宮都と言います。いつも姉がお世話になってます｣

｢えへへ、よく出来たいい子でしょ〜？｣

宮都君の挨拶に、それぞれが適当な言葉を返した。
俺はさっきここに来るまでにいっぱい話したし、
つわはす君はもともと知っていたようだからそれを見てるだけ。

ふと、気になってつわはす君の方を見てみる。
彼はA姉弟をとても優しい目で見つめていた。

｢…つわはす君、？｣

穏やかな瞳にはしっかりとAと宮都君が映し出されている。
その目はまるで家族を見守る父のようで。
俺は思い知った。

…勝てるわけがない。

つわはす君にとってこの2人はきっと家族同然なんだろう。
だから、愛している。

｢……でも逃げない｣

俺はもう一生逃げない。

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