【実I況I者】それはきっと、【キIヨ】II

66．観察開始 ページ18

今から行く、なんて勢いで言っちゃったけど…良かっただろうか。
メッセージを送ってすぐに後悔した。
だって、宮路が変なこと言うから。
姉さんの好きな人、だとか。
そんなわけないじゃないか、馬鹿馬鹿しい。

…なんて、俺が勝手に否定していいものではない。

だからこそ自分で会って話して確かめよう。
そう思ったのだ。

｢悪いけど、俺ちょっと姉さんたちのところ行くね｣

｢はぁ！？なんで｣

｢今じゃないといけない用事を思い出したから。本当ごめん｣

一緒に来ていた高校のサッカー部の仲間に一言断りをいれる。
最初は理由を問われたり、シスコンだとか軽くからかわれたけどなんだかんだみんな承諾してくれた。

｢じゃあな宮都〜！また練習で！｣

みんなに手を振り、もう一度写真を確認。
背景にあるのは柳の木。
だったらあっちの方か…、とだいたいな予想を立ててその場を後にした。




∞----------------------∞


目の前には項垂れた男の人。
しかもこの人姉さんの写真に写ってた人、そしてさらに宮路が姉さんの好きな人だと断言した人だ。
なんで1人なんだ？
なんか元気無さそう…？
そもそも誰？
いろいろな疑問を抱きつつ、恐る恐るその人の肩を叩いてみた。

｢…あの、大丈夫ですか？｣

その人は顔を上げた。
うん、人間違いじゃない。
確かにあの人だ。

この人が姉さんをどう思っているのか、
姉さんは本当にこの人が好きなのか、なんて知らない。
でも、｢そうかもしれない｣時点で俺には知る権利がある。

じっくり見定めてやる。

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