光の為 ページ40
「死ぬ……私が?」
「そうだ、それもただの死に方ではいけない。
コギトの井戸に身を投げろ」
「カルメンの眠る井戸に飛び込めというのか」
私は拳をわなわな震わせアベルに問う。
昏睡状態に陥ったカルメンは後にコールドスリープ状態となり脳は机上の空論が現実となり釣瓶とされた。
それ以来、今まで搾り取る様に採取していたコギトは嘘の様にこんこんと涌き出し、
今までは精製されエンケファリンという名前で扱われるようになった。
人体に吸収されるとアブノーマリティになるか痛みで床を引っ掻き爪が全て剥がれ落ちるかしか無かったコギトに比べれば随分な進歩だ。
……そのコギトの涌き出る井戸にカルメンの眠る井戸に飛び込めというのか?
それはいわば死者への冒涜だ。
「お前の怒りも分かる。だがな、それが光の為なんだ」
「……」
「アブノーマリティは、コギトによる人の変種ともうひとつ、異世界から来たものがあるのをしっているな?」
「鳥達のような……ですか」
「そう、あいつらは所謂『黒い森』から来たとされている。
コギトの井戸は、そんな世界と繋がる可能性が高いのだよ」
「……」
「そして君は、コギトへの耐性が極めて高い」
「え」
「カルメンには内緒にしてくれと頼まれたのだがな、Aも実は釣瓶にふさわしい人材だったのだよ」
「私が……何故カルメンは」
言ってくれなかったかと言いかけて言葉を飲み込む。
彼女は私を助けると、帰すといった、約束した。
例え二の次になる、そう言っていても私を釣瓶にしようなんてアインから仮に言われたとしても頑として首を縦にふらないはずだ。
だからこそ、彼女は悩んだのだろう。
……実質私がカルメンを殺す一因になっているではないか。
「カルメンは」
「……!!」
「カルメンはAのことを恨んではいなかった。
むしろ、帰してやれなくてすまない、そう思っていた」
「慰めてるつもりですか?そんなの分かるわけ……」
「彼女の手記に、いや正しくは計画書の走り書きにそう書いてあった」
「……」
「彼女はどこまでも優しく儚かった。
Aの希望まで奪うわけにはいかない。そう書いてあったよ」
「……カルメン」
私は、その言葉を聞いて決意を固めた。
「分かったわ。井戸に飛び込みましょう」
上手くいかなくても、釣瓶として機能出来て、それが彼女の夢を叶えるのなら。
そして何より、彼女の元で眠りにつけるのなら。
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怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - 紅夜赤猫さん» ひぇっ見つけていただきありがとうございます……！ご期待に添えればいいのですが……！こちらも好きです！！(！？！？) (2020年6月14日 7時) (
レス) id: a3e985f800 (このIDを非表示/違反報告)
紅夜赤猫(プロフ) - ないだろうな.......とか思いながら探してたら神を見つけました。称えます。ゆっくり読ませていただきます。好きです（？） (2020年6月13日 22時) (レス) id: 65e183dcbc (このIDを非表示/違反報告)
ねこねここねこ(プロフ) - 怒らないで委員会会長mAKAさん» いえいえ、暗い雰囲気だから好きと言うわけではないから全然大丈夫ですよ！！頑張ってください！！！(こちら返信不要です！) (2019年10月26日 11時) (レス) id: 8dfe7db7a7 (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - テンパりすぎて文章が可笑しくなってしまった……すみません (2019年10月26日 8時) (レス) id: 970d62df08 (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - ねこねここねこさん» ありがとうございます……!!恐らくヒロアカ編では明るい雰囲気にするつもりなので、もしかしたらご期待に添えないかもしれませんがこれからも頑張りますのでお願い致します (2019年10月26日 8時) (レス) id: 970d62df08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怒らないで委員会会長mAKA | 作成日時：2019年10月8日 17時
