術に必要な過去 ページ25
「この魔法は異次元同士、とかパラレルワールド同士のチャンネルを繋ぐ魔法なの。
チャンネルを合わせるには合わせたい世界の明確なビジョンと繋がりが必要だわ。
ここでいうテレビジョンの様に適当にガチャガチャいじっていたらたどり着く、なんてことは奇跡に等しいの」
「……ビジョンと繋がり」
「繋がりに関して言えば管理人さんは別の世界の住人だからその点では……まぁ、向こうの品があるのが一番だけど……いいとして、重要なのはビジョンよ」
「思い浮かべる力ってこと?」
「そう、どの時空のどの時間帯のどの空間にいたいか。
それが曖昧だと、
管理人さんは時空の狭間に閉じ込められることになる。
一度閉じた回廊を開けるのは私でも不可能に近いわ」
もとはといえば力でこじ開けていたから微調整は苦手なの……。
申し訳無さそうにこちらをみやる彼女。
ビジョン、私は私が居た時空の、飛ばされる前の日の、財団にある自分の寮を思い浮かべる。
軋む少し低めのイスに、少し古い型のコーヒーマシン、中々外に干せないがそれでも毎日変えているパリッと糊の効いたシーツのかかったベッド。
ありもしない私服をかけるためのタンスに、昇給祝いにともらった質素な部屋に不釣り合いな程重厚感のあるマホガニーのテーブル。背伸びをしてちょっと高めの万年筆を買って飾っていたっけ。
たった２ヶ月弱離れているだけなのに、なんだか懐かしく感傷的な気持ちが沸き起こる。
おかしいな、今朝まで自宅に戻りたい、なんて思っていたのに。
思えば実家の事を良く覚えていない。
「……ぇ」
母親の優しそうな顔、父親の威厳たっぷりな顔、兄の母親にそっくりだが目の鋭さは父親譲りの顔、
家をバックに並ぶ家族は思い出の中で私にニッコリと微笑んでいた。
「……ねぇ……」
両親は、兄は元気にしているだろうか、私がここに……いや、今の状況で正しくはSCP財団にて働いていることを知っているのだろうか。
「……ねぇってば」
「……」
「ねぇ!!!!」
「うわっ!!」
少々感傷に浸りすぎたかもしれない。
私は彼女を全く念頭に入れず、また思考の闇にひきずられそうになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - 紅夜赤猫さん» ひぇっ見つけていただきありがとうございます……！ご期待に添えればいいのですが……！こちらも好きです！！(！？！？) (2020年6月14日 7時) (
レス) id: a3e985f800 (このIDを非表示/違反報告)
紅夜赤猫(プロフ) - ないだろうな.......とか思いながら探してたら神を見つけました。称えます。ゆっくり読ませていただきます。好きです（？） (2020年6月13日 22時) (レス) id: 65e183dcbc (このIDを非表示/違反報告)
ねこねここねこ(プロフ) - 怒らないで委員会会長mAKAさん» いえいえ、暗い雰囲気だから好きと言うわけではないから全然大丈夫ですよ！！頑張ってください！！！(こちら返信不要です！) (2019年10月26日 11時) (レス) id: 8dfe7db7a7 (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - テンパりすぎて文章が可笑しくなってしまった……すみません (2019年10月26日 8時) (レス) id: 970d62df08 (このIDを非表示/違反報告)
怒らないで委員会会長mAKA(プロフ) - ねこねここねこさん» ありがとうございます……!!恐らくヒロアカ編では明るい雰囲気にするつもりなので、もしかしたらご期待に添えないかもしれませんがこれからも頑張りますのでお願い致します (2019年10月26日 8時) (レス) id: 970d62df08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怒らないで委員会会長mAKA | 作成日時：2019年10月8日 17時
