逃げられない【TH】 (ページ5)

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《おいこれがあいつの娘か？》

だれ、なの？

部屋でいつもの様に音楽を聴きながらウトウトしていた。

そしたら突然

ガヤガヤしだしていつの間にか私の部屋の扉は開けられ、やけにガタイのいい見知らぬ男が数人居る。

不思議と私は逃げることはしなかった。

そのまま、ひとりの男に手首を縛られて無理やり引っ張られてそのまま下の階へと連れていかれた。

なぜだか言葉が全く出なかった。

助けてとか。

そんなことより父は？家政婦のおばちゃんは？

そのことばかり頭で考えていた。

下の階へ着くとソファーを腰掛けた見慣れた後ろ姿と、スーツ姿の男性が居た。

『お父さん！』

と声をかけたが顔を全く上げずに

父〔早くしてくれ〕

と言う。

？[ははっ。君が○○ちゃん？じゃあ行こうか]

と父の前に座っていたスーツ姿の彼が言った。

『お父さん…？どういうことなの…』

？[あれ？説明がまだだったかな？]

この場に合わない爽やかな笑顔を見せた彼はもう一度ソファーに座り直してから話し始めた。

？[君のお父さんはもう今までの地位では無くなってね～

この家も売ることになったんだ。

それでもお父さんはどうしても政治家でありたいと強く願ってね。

だから条件を出したの]

『…条件？』

？[うん。それはね

とっても簡単だよ]

そう笑いながら

？[君を貰ったんだ]

理解が追いつかない。

この人は何を言ってるのだろうか。

？[あ、やー、まぁ貰うって言ってもね、僕のお嫁さんに！とかそういうんじゃないよ～

君を商品としてもらったの]

この爽やかな男の口から出る数々の言葉は私にとって全てが嘘としか感じられない。

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