雷鳴具して恋に落つ。 (ページ37)

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36話ページ37

それから数日。

今日は久々のオフで、Aとデートだ。

…まぁ、そう思ってるのはどうせボクだけだけど。

「がくと、近い！」

「だめ？」

「だめに決まってる！！」

決まってるのかー。

ボクが肩を抱いて歩き出そうとすると、この様だ。

「じゃあせめて手、繋ごうぜ」

「……はぁ。」

ため息をつきながらも、ボクの差し出した手を取るA。

最初に入ったのは様々な種類のアクセサリーを扱う店。

「次のライブで使うのか？」

そんな事を言うAに、

「そうだね。」

と答えるが、実はそれだけではない。

「Aはどれが良いと思う？」

「…知らん。でも、個人的にはがくとにはこれが似合いそう。」

そう言って渡されたのは、リングのネックレス。

銀に黒が映えた、確かにボクに似合いそうな。

「ふぅーん。これにしよう。」

「え！？」

Aは即決したボクに驚く。

「Aが選んでくれたから。大切にするよ。」

「…わけわからん。」

ボクは店員にそれを２つ、と頼んで、１つは自分の首に。

そしてもう１つは、

「A。」

「何。」

ボクと店員との会話に飽きたらしく、他の商品を見ていたAに。

「っ！またお金を使って…。私に買い与えて、何の意味があるんだ。もう少し有効活用を」

ちゅ。

その口をキスで黙らせる。

「なっ！？～っ！だからそういうのは大切な人とっ！」

「Aが大切。」

「はぁ！？」

今日も伝わらないかなぁ。

ボクはAの手を取り、次の店に向かう。

「…がくとが何故私の事をそんなに大切だって言うのか全然わからない。」

車の中で、ポツリとAが呟いた。

「んー。じゃあ今からその謎を解決しに行こうか。」

寄ったのは花屋。

「ここで待ってて。」

そうAに言ってボクは店の中へ。

予約しておいた花…赤いアネモネを受け取って会計を済ませる。

店の外へ出ると…Aが消えていた。
ボクは焦って辺りを見回す。

「A…？」

目の端にちらっと映ったのは、二人の男に連れられて路地裏に入っていくAの姿だった。