32話 ページ33
「A。ちょっと話が。」
ライブも近づいてきた今日。
私は佐々川さんとカラオケに来ていた。
「何ですか?」
「実は、次のライブに出て欲しいんです。」
「!?ま、またですか?」
次こそはバレる。
絶対にバレる。
「今度はお面をつけるので、大丈夫です。」
「…は、はぁ…。」
というのも、がくとの性格上、敵も多いらしく。
「今この人たちとの対立が激しくて、次何か仕掛けてくるとしたら、ライブかと。」
「…なるほど。」
「この間のがくとのちょっとした騒動の時も、裏で動いてたみたいですし、GACKTの身に何かあっては…。」
確かに心配。
「…わかった。」
「あ、念のため、面の下にはバッチリメイクをします。それから、黒い衣装なんですけど、それも場に応じてサッと脱げる形にするので、下はカッコイイ衣装に。」
「はい。」
「さて、歌いますか!」
佐々川さんに促されて、曲を入れようとして止めていた手を再び動かす。
一曲歌い終わって、
「また上手くなりましたね。」
と言われ…。
そうでもないと思うので、曖昧な返事。
「GACKTとユニット組めば良いと思うんですが。」
「む、無理です!」
「……。(全くどこまで自分に自信がないんだか。)がくとがAが出たライブの後、メンバーに入れたいから探せと言ってました。」
よかった。
がくとはあれが私だと微塵も気づいていないみたいだ。
…………はぁ!?
佐々川さんが言った言葉が、ゆっくりと脳で理解された。
「メンバーに!?あのがくとの音楽集団に!?」
「はい。」
佐々川さんに真顔で頷かれ、少し落ち着く。
…でも危機だ。
これはがくとのことだ。
私だとばれたら、上手く私を誘導して入れてしまうに違いない。
こんな私がメンバーに入ったら、きっとがくとに迷惑がかかる…。
「…次のライブ…何事も起きませんように。」
「(フラグが立ってると思うのはこの佐々川だけでしょうか…。)」
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アオチー(プロフ) - 最高です! (2020年1月11日 14時) (レス) id: 3f20b2e02d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳴神いすず | 作成日時:2017年2月8日 0時