2話 ページ3
「GACKT、無事ですか!?」
とりあえずマネージャーの佐々川を呼んだ。
ボクの涙声に慌てたらしい。
こいつはボクの身の回りのことをやってくれていて、独身。
だからボクの家(マンション一棟)の一階に住まわせている。
「その方は…」
「ボクが殺した人の子ども。」
ボクは今までの経緯を簡単に説明する。
「で、ゆるすから生きろって…。」
「良かったですね!」
……良かった…?
こいつはボクの過去を知っている。
「もう死んだように生きなくていいんですから。」
死んだように生きる…。
…思えば、食事も大して味はせず、日々に喜びは無かった。
フシダラに女と遊んで、憂さ晴らしをして。
してはいけないことをして。
そんなことは望んではいなかったのに。
「……ボクはゆる、された…?」
大切な人を奪ったこのボクが。
先ほどの君の言葉が蘇る。
「……赦された…。」
「さぁ、GACKT、この子をお風呂に入れて着替えさせてください。得意でしょう。」
「…はぁ?ボクは男と風呂に入る趣味は」
「女の方ですよ。」
「……?」
「だから女性です。」
「え。」
「はい、ですから、お風呂に入れてあげてください。気絶してこんなに雨で濡れていては、さすがに風邪をひかれてしまいます。」
女……。
いや、だって胸……。
「無理やり抑えてるだけでございますよー。」
佐々川は心を読むことを覚えたのか?
……とりあえず、風呂に入れる…。
佐々川みたいに他の気の利く準備も出来ないし。
ボクは雨で冷えた体を抱き抱え、風呂へ向かった。
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アオチー(プロフ) - 最高です! (2020年1月11日 14時) (レス) id: 3f20b2e02d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳴神いすず | 作成日時:2017年2月8日 0時