裏日常

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ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ．ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ｯ、」


全く寝られなかった

いや、寝る前から予想はできてたけど...


まさか１分も寝られないとか知らない


ずぅっと坂田のこと考えてたらいつの間にか夜が明けた


付き合う前の俺みたい

坂田と付き合えたらー、みたいなことずっと考えてたなぁ


１年半前ようやく付き合えたわけだけど、現在進行中で坂田に忘れられてる

俺が生きてる間は一切思い出してくれないけど



...考えてるだけで悲しくなってきた


お休み１週間もらえたから、坂田に最後会いたいし....

あ、でもその前に坂田の家片づけないとな


坂田の家に俺のもの沢山あるし


思い出のものも全部捨てないと




坂田、起きてるかなぁ


坂田と会話がしたい

どんな会話でもいい


坂田の声が聞きたい

怒鳴り声でもいい



坂田にぎゅってしてほしい

それは二度と叶わないけど




まふくんに曲作ってもらおっかな

悲しいラブソングができそうだ



そんなことを考えてる間に時計の短い針は１０を指している


そろそろ準備していかなきゃな









.







「坂田ー？」


だぁれもいない坂田の家でそう叫ぶと


「なぁに？うらさん」



聞こえるはずない声が聞こえて、あぁ俺疲れてるな、って、改めて思った

あの優しい声は聞けないのか


何度目かのその言葉


ダメだ、泣きそうになる


ネガティヴ思考を振り切るように頭をぶんぶんと振るとふと写真が目にとまった



そういえば坂田の部屋を見渡すと至る所に俺がいる

俺との写真、俺のパーカー、坂田と俺のお揃いのマグカップ


お揃いのものも沢山買ったな

パーカー、マグカップ、ネックレスとか


いつか苗字もお揃いにしたいなぁって、思ってたのに



全部捨てよう



写真もネックレスも、マグカップも緑色のものとか、全部


それでも、ひげまんじゅうはゴミ袋に入れられない

お前だけは坂田のそばにいてやってくれ


そういう意味を込めてそっとベッドの枕のそばに置いた



「ふぅ....」



片付けを一通り終わらせた部屋を見るともう俺の面影は一切ない


いや、嘘



ひげまんじゅうと俺の家の合鍵だけ残ってる


もしかして、というあるはずない希望に賭け思い出してくれた時用に合鍵は残した


これで最後

坂田の家に来るのは最後だよ


あと、坂田に２回会ったらサヨナラする


今日だって追い出されちゃったから

明日も多分追い出されるだろう



でも、坂田俺のこと無視はしてないから


最後の挨拶くらいさせてよね





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