S-5 ページ5
涼ちゃんの言う通り、
今の私は歩き過ぎて、しんどいです。
結構な距離を歩いて
連れて来られたお店は…
居酒屋?
うん、でも…
『めっちゃお洒落(笑)』
普段あまり行かないテイストのお店。
疲れたのも忘れて柄にもなく
緊張してしまう自分がおかしかった。
“予約した白河です”
“お待ちしておりました。お連れ様はまだお見えになっておりません”
通された部屋は、掘りごたつの個室。
奥に涼ちゃんが座る。
いつものように、涼ちゃんの向かいへ…
涼『ひめ、こっち』
涼ちゃんが、自分の右隣を指す。
え?狭くない?
『カップルじゃないんやから、個室で隣同士はちょっと…。って、個室じゃなくても隣同士は…』
涼『つべこべ言わんと、ココ座る!』
『へい』
本日2度目の、怖い。
涼ちゃんの思惑が分からない。
コンッ コンッ コンッ
とノックが聞こえ “いらっしゃいませ” と
おしぼりとお茶を持ってきてくれた店員さん。
私たちが個室で隣同士で座ってるのにも
変な顔ひとつせず、にこやかに接客をしていく。
んー。スタッフ教育が行き届いてる。
『涼ちゃん、いつもこんなお洒落なとこでご飯食べてんの?私あんまりこんなとこ来ぇへんから緊張するわ(笑)』
私の問いかけにも
隣りでニッコリ微笑んでるだけの涼ちゃん。
綺麗なんだけど
なんかドス黒い微笑みに見える…
このなんとも言えない雰囲気に
飲み込まれそうになり、ひたすら喋り続けた。
『しかも!掘りごたつ!涼ちゃんとで良かったわー!これ合コンとかメンズと一緒やったら靴脱ぐし気使う(笑)』
急に真顔になり、“ごめん…”と
ボソっと呟いた涼ちゃん。
『ん?どうかした?私お腹減ったし喉も渇いたわー!ビール飲みたい!』
コンッ コンッ コンッ
『あ、ちょうど店員さん来た!涼ちゃん、飲み物何にする?』
“お連れ様が、お見えになりました”
お連れ様?
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作者名:KBZ | 作成日時:2015年10月4日 19時