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S-28:健二郎SIDE ページ29

急遽明日のLIVEのことで
パフォーマーだけが呼び出された。


『行きたくねぇぇええええ!』と
本音を出したら、涼子さんに頭をはたかれた。




『ちょーっと、ごねてみただけですやん』





目黒川沿いを歩いて、別れ道まで来ると
驚くぐらいに寂しい気持ちになった。


A『健二郎くん。今日はホントにありがとうございました!めっちゃ、めっちゃ…めーっっちゃ!楽しかったです!!』




お礼を言うのに
腰から90度に曲げられた姿勢。

丸い背中が何故だか愛おしかった。



『気にせんでええよー。俺も実はめっちゃ楽しかった。こんなん結構久々かも(笑)』


A『実は、って…健二郎くんが楽しんでたのバレバレですよ?何回石ころ蹴飛ばしてたと思います?』


『ホンマにお前は!口が達者やのぅ!!!』


A『うっしっし〜!はい、ぎゅうどんまん。今からまたお仕事なんでしょ?コレ、冷めちゃったけど食べてください』




彼女の右手にあったのは牛丼。


『なんで…?』


A『なんとなく(笑)お酒弱いって言ってたのに、お酒飲むわりに、ご飯食べてなかったし。まぁ、お酒のシメは牛丼って言いますし!』




『お酒のシメはラーメンだぎゅう』




今日の最後になるであろう
俺のボケに対して彼女は
盛大な引き笑いで答えてくれた。

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作者名:KBZ | 作成日時:2015年10月4日 19時

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