恋の果実 (ページ24)

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S-23：臣SIDE ページ24

悠『え…ファン？』

悠介の言葉に
Aちゃんは、ハッとした顔をした。

『悠介も瑠美も先行ってて』

悠『いや、でも…』

ごちゃごちゃ言い出しそうな友人を追いやり
唖然と立ち尽くしている
Aちゃんに向き直った。

『Aちゃん？どしたの』

俺の問いかけに
ガバッと腰を90度に曲げた彼女。

『えっ！？』

突然のことに焦る俺に
腰を曲げたまま、彼女は話し出した。

A『ごめんなさい！登坂さんの立場…ちゃんと考えずに呼び止めてしまって…ほんまにごめんなさい…』

『いや、ちょっとたんま。その前にAちゃん、顔あげよ。余計目立つわ(笑)』

俺のその言葉に今度は逆に
ガバッと腰を伸ばし俺の顔をみた。

その顔は、なんだかとても情けなくて…

A『あぁ…もう…ほんまにごめんなさい』

そう言って、また謝った。

とりあえずこんな道の真ん中では、と思い
少し端に移動して彼女に話しかけた。

『Aちゃん、謝り過ぎ(笑)俺なんにも怒ってないし(笑)てか、どしたの？なんかあった？』

A『いや…きちんとお礼を言おうと思ってたら、登坂さんもう行ってしまってた後だったんで…後で涼ちゃんにでもお願いして、伝えてもらうべきでした。こんなとこに追いかけてきてしまって…後先考えるべきでした…』

いや、Aちゃん。

どんだけ落ち込むんだよ。

『Aちゃん。俺別になんとも思ってないよ(笑)お礼言うために、わざわざ追いかけて来てくれた人に怒るわけないじゃん。俺そんな奴じゃねぇよ？』

A『わかってます！！私、登坂さんのファンですから！！！そんなこと分かってるんです！って、こんな話してる場合じゃないんです！！登坂さん！今日はほんまにありがとうございました！』

そう言って彼女は
また腰を90度に曲げた。

忙しいな(笑)