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S-20 ページ21

健二郎くんが石ころ蹴飛ばしながら
用を足しに出掛けた後の室内。

水を打ったような静けさとは
まさにこのこと。



『気まず…』


おっと、心の声が溢れ出てしまった。


くっくっ、と肩を揺らしながら
お馴染みの笑い方で笑う
目の前のフェロモン野郎。

全てのことが、彼を本物の
登坂広臣なのだと示していた。



そんな中、私の右手はまだ
彼の左手によって拘束されたまま。

ちょっと、いつまで握ってんのさ。
しかも、ちょいちょいニギニギすんのやめて。



『ちょっと!いつまで握ってるんですか!私の手、スライムちゃいまっせ!!』


言ってやった。
さぁ、臣くん!
どうくる!?どうでる!?





臣『うん、知ってるけど。ってかスライムって懐かしすぎるんだけど』





『響かんわー。登坂さんホンマに打っても響きませんね。関西人の敵かも…』




私たちのやり取りを聞いてた涼ちゃんが
珍しくクスクスと笑っていた。


涼『登坂、絡むねぇ。何?ひめに気があんの?』


臣『え(笑)気なんかナイナイ!こんだけしても、頑なにこっち見ないから悪戯心に火がついただけ(笑)』




気なんかないことなんて百も承知だけど
笑いながら即答されたことに
思った以上に傷ついている自分がいた。



『あほらし(笑)見れますよ!全然見れます!!!』



開き直って強がった私の言葉に
なぜか嬉しそうに臣くんが答えた。



臣『よっしゃ!さぁ、見ろ!見るがいい!!』



なぜだか悔しくて
目の前にいる臣くんに向き合った。




ドクん。

目が合うと心臓が波打つ。

くっそー…
私がこんなドキドキしてるのに
なんてことない涼しい顔しやがって…


にしても、やっぱり綺麗な顔。

大きく見えるけど、よくよく見ると
ちょっとつぶらなのかな?と思える目。

すこーし垂れ目なんかなぁ…
立派な鼻やなぁ…
唇の厚み凄いなぁ…


あれやこれや考えながら見つめて
やっぱり目の下のホクロが好きやな、と
いうところへ落ち着いた。

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作者名:KBZ | 作成日時:2015年10月4日 19時

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