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インターホンを押すと、扉はすぐに開いた。





『 あ…大ちゃん、 』



大「 …来ると思ってた。 」





静かに笑ったあと、

彼は私を部屋に招き入れた。








出してもらったお茶にも手を付けず

ただ黙って下を向く私に、大ちゃんは静かに声をかける。






大「 …俺に、なんか話したいことあるんでしょ? 」



『 あ…うん、あの… 』



大「 山田先生のこと? 」



『 …そう。 』







大ちゃんは、もう全てわかっている様子だった。


" いいよ、ゆっくりで " と柔らかい表情で私の目を見てくれる。






私は、覚悟を決めた。






『 大ちゃんと出会った時、私一瞬で目を奪われて、


サッカーしてる大ちゃん見てたら、好きになってた。


大ちゃんと初めて会話したあの日、誕プレ渡せるだけで満足だったのに、一緒に帰ったりたくさん話したり、本当に幸せだった



その幸せは、付き合ってるときも同じで、

大ちゃんと過ごす時間は本当に楽しくて、早かった 』



大「 うん。おれも 」



『 だけど…、自分でもまだわからないの、でも、


山田先生といる時間が…心地良くて、でもちょっと胸が苦しくて、


──── " 好き " って感情が当てはまっちゃって…



だから、ごめんなさい。わたしと…別れてください 』



大「 …そっか。やっと素直になったんだね。


山田先生にキスされた日さ、俺Aちゃんのこと連れ出したでしょ?


あの日は、まじで山田先生に近付けたくなくて、必死だった。



でもそれってさ、俺の自己満足だったんだなって思ったんだよ。


Aちゃん見てて、山田先生のこと想ってるの伝わってきて、でも頑なにそれを認めようとしないのは、あの日俺があんなこと言ったからなのかなって。


Aちゃんから自由を奪いたくなかった。だから、素直になっていいよって言った。


俺から別れを告げたようなもんだね。 」







そう言って彼はまた笑った。


その笑みは、必死に悲しさを紛らわしているようで、心が締め付けられた。






『 ありがとう、大ちゃん 』






私も笑って、


円満なさようならを。






大「 1つお願いがある 」


『 なに? 』


大「 これからもAちゃんのこと、


好きなままでいてもいい? 」


『 …もちろん 』


大「 ありがと 」

◇→←◇



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作者名:いちごだいふく。 | 作成日時:2018年12月25日 18時

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