先生はウソつき。ｰR.Yｰ (ページ35)

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◇ ページ35

大「おかえりー！」

『た、ただいま！』

大「綺麗な人だね、あの人。

まぁ、俺はAちゃん一筋だけど(笑) 」

『 …ありがとう、大ちゃん』

大「 …どーした？」

『あ、いや…あの人、皐月さんって言うんだけどね、

皐月さんと山田先生が待ち合わせしてたから、ビックリしただけ！ごめんね」

椅子に腰掛けた私の顔をじっと見て

大ちゃんは小さく深呼吸をした。

大「 …嫌だった？」

『え？！そんなことないよ！！

このカフェ、雰囲気すごく落ち着くし、素敵な所だよ。

むしろ来れて嬉し── 』

大「そうじゃなくて！」

珍しく大きな声をあげた大ちゃんに、

驚きで声が出せなくなった。

大「 ……山田先生と、その皐月さんが一緒にいるとこ見るの、嫌になって戻ってきたの？」

『え…ちが── 』

大「違わないでしょ！違うならなんでそんな今にも泣き出しそうな顔してんだよ！」

『大ちゃん落ち着いて！違うの！

本当に山田先生のことはなんとも思ってない！』

大「 …Aちゃんはさ、優しすぎるんだよ。

そろそろ自分の気持ちに素直になっていいんだよ？」

大ちゃんの目が、あまりに悲しそうで、

握ってくれた手が、小さく震えていて、

" 今日は帰ろう、帰ってゆっくり考えて "

そう言った声が、今にも消え入りそうで。

イルミネーションを見る事なく、

少しの距離を保ったままの帰り道は、

お互い何も喋らなかった。