千の夜をこえて-2- (ページ10)

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ep.10 ページ10

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あの日から1週間が経って終業式を迎えて夏休みに入る

午前中で終わったのに私は1人屋上にいた

特にする事もないけど

この青々とした雲ひとつない空を大の字になって見ていたかった

山崎「おい」

『……』

山崎「無視かよ」

『……部活は』

山崎「午後から」

『……そ』

山崎「あいつと何かあったん？」

『……』

山崎「あったな。女がおったとか？」

『……』

山崎「…まじ？」

『……初恋の人なんだって』

山崎「……」

『可愛い人だったな……』

目が大きくて顔が小さくて鼻が高くてロングで可愛い人だった

それに比べて私は…

山崎「お前さ自分に自信ねぇの？初恋だか一目惚れだか知らねぇけどさ、あいつが好きなのはお前だろ？だったらあいつの彼女ですって胸張ってればいいじゃんかよ」

『……それが出来たら私もこんな悩んでないよ』

山崎「、ダメだ。完全に病んでる」

病んでるのかな……私

山崎「お前可愛いんだから自信もてよ」

『それ本心？』

山崎「嘘つかねーから」

『可愛いなんてお兄ちゃんと律くん以外言われたことない』

山崎「……何かその2人の中に入ってんの嫌だな」

『2人ともいい人だから。私を助けてくれた人』

山崎「…じゃあ、今度は俺がお前の救世主になってやろうか」

『ん？』

山崎「お前に何かあったら俺が助ける」

『何で？』

山崎「……なんとなく？ …俺がまた野球できてるのもお前のおかげだし。で、俺になんかあった時もお前が俺を助ける」

『何それ笑颯一郎さんって何か面白いよね笑』

山崎「褒めてんの？それ……つーか、その颯一郎さん呼び辞めね？さん付け何かきもいわ」

『じゃー私の事もお前呼び辞めてください。イラッとします』

山崎「はい……。すみません。」

この日から私は＂颯一郎＂と呼ぶようになり

颯一郎は私の事を＂A＂と呼ぶようになった