千の夜をこえて-2- (ページ23)

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ep.23 ページ23

〜

試合が終わってすぐ下に降りた

向こうから足を引きずりながら歩いてくる颯一郎

山崎「やってしまった笑」

笑う颯一郎を見て涙が出た

『……心配したんだよ…』

山崎「泣くなよ笑ただの捻挫だし笑 ……それより勝てなくてごめん。一勝くらいしたかったけど」

『何言ってんの…甲子園来ただけでも凄いよ』

そう言うと颯一郎は私を抱きしめた

『…え？』

山崎「俺、後悔してない。ここに来てよかった。感謝してる」

『…うん！私、絶対忘れないから。颯一郎が甲子園に連れて来てくれたこと』

山崎「おう！笑」

ちひろ「お兄ちゃん！」

ちひろちゃんとお父さんとお母さんの姿が

山崎「何で父さんが…」

『甲子園出場が決まった時、お父さん患者さんに、俺の息子なんです！できた息子なんです！って自慢してたって』

山崎「……」

『…大丈夫』

山崎「…父さん」

お父さんは颯一郎を抱きしめた

父「ごめんな。父さんのせいで辛い思いさせて。本当にごめん」

山崎「………っ……」

父「お前は、俺の自慢の息子だから……昔からずっと」

家族4人で抱き合う姿は温かくてきっと天国にいるお母さんも優しく見守ってくれてるはず

そう感じた

〜

-帰り-

碧「A〜」

『ん？』

碧「…もし律に会えたら何したい？」

『…何で？笑』

碧「何となく…笑」

『ん〜』

何したい……

律くんといた時、パフェ食べに行ったりハンバーグ食べに行ったり

遊園地行ったり、買い物したり、色々やってきたけど

もし、今律くんに会えるなら

『抱きしめたい。優しく抱きしめてあげたい』

碧「……そっか」

『…でも、』

碧「？」

『もしそれが出来たらそれが最後だと思う』

碧「……」

律くんを嫌いになったわけじゃない

でも、律くんじゃない人が私の中にいる事は確かだった