モーンガータ (ページ3)

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うるさい。

うるさい、うるさい、うるさい！！

毎晩のように両親が喧嘩する声が聞こえてくる。ガチャンと時折、お皿が割れるような音も響いた。

その音を聞きたくなくて、イヤホンを耳に突っ込んで目を閉じた。

この家はめちゃくちゃだ。

「A、荷物まとめろ。出ていくぞ。」

喧嘩の原因は母親の浮気。お母さんが浮気をしていたこと、それはわたしも知っていた。自業自得だ。

「A…、行かないでよ。」

最後にそう訴えるお母さんの姿は、見たこともないぐらい小さく見えた。目を逸らして、お父さんの後をついて家を出た。

そうして、新しくお父さんと二人で住む家。

狭くもなく広くもない。

家から学校までは、そう遠くない。新しい制服を身に纏い、新しい学校へと続く道を歩いた。

目の前には怠そうに歩く二人の男の子。横を通り過ぎて、学校へと到着した。

『失礼します。転校してきたAAです。』

普通なら、転校初日は親と一緒に来るものだろうが父親は朝から仕事で起きた時にはもうすでに出勤した後だった。

「…はじめまして。2年2組担任の船津です。よろしく。」

『よろしくお願いします。』

すらっとした担任の後に続いて教室の前まで連れてこられる。教室内は次第にザワザワとし始めた。

こんな時期に転校なんて、訳ありだと思われるよなぁ。

『AAです。よろしくお願いします。』

顔をあげるのが怖かった。みんなからはどんな目で見られているのだろうか。

「ねぇ、Aちゃんって呼んでもいい？」

『うん。』

「てか、すっごい美人！羨ましい～。」

『…ありがとう。』

休み時間には質問責め。精一杯の笑顔を取り繕ってその場をやり過ごす。この辛抱もきっとあと数日。

ふと顔を上げたときに、前の方にいた男の子と目が合ったのと同時にすっと目を逸らされた。

チャイムが鳴ってわたしを囲んでいた女の子たちが自分の席へと戻っていく。

さっき、目が合った男の子はわたしの隣。