モーンガータ (ページ12)

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「あれ？海は？」

『あ、トイレ…。』

ふ～ん、と興味がないような相槌を打ってコトンっとテーブルの上に頼んだものを置いていく拓弥くん。

「…あいつ、良いやつでしょ？」

『うん。』

「海には、心開いても良いんじゃない？」

『…もう十分開いてるよ。』

拓弥くんはトイレから帰ってきた海くんの姿を見て奥へと戻っていった。

「拓弥となに話してたの？」

『ううん、特に何も。』

初めて出会った。海くんみたいな人に。できるだけ人と関わりたくないと思っていたけれど、海くんのおかげで変われそうな気がする。

それからは、少し学校へ行くのが楽しみになった。周りにも溶け込めているような気がする。

隣に海くんがいれば…もっと楽しいのに。

『拓弥くん、今日も海くんお休み…？』

「あ～、休みみたい。」

『そっか。』

「Aちゃん～！次移動教室だよ、行こう？」

『あ、うん。今行く。…拓弥くん、今日の放課後時間ある…？』

「バイト休みだし、大丈夫だけど。」

『じゃあ、また後で。』

拓弥くんに別れを告げて、呼んでくれたクラスの子の元へと急いだ。ここ最近、海くんはずっとお休みしている。船津先生は、体調不良だと言っていた。心配で心配で仕方がなかった。

『ごめんね、拓弥くん。』

「いや、大丈夫だけど…どうしたの？」

『海くんのところ…連れてってもらえないかな？』

「あ～、えっと…」

拓弥くんの目が泳いでいるのが分かった。それによって何となく海くんは体調不良でお休みしてるわけではないような気がして、胸騒ぎがした。

『…お願い、できないかな？』

「海に、頑張れって言わない？」

『…うん。』

意味が分からなかった。でも、海くんが何かを抱えていることを悟った。拓弥くんの背中を追って私も教室を後にした。