purple ページ11
『お会計260円です。』
毎週いつものように買いに行く漫画雑誌。レジに立っていた女の子が、研修中のバッチをつけて慣れない手つきでレジを打つ。
きっと新人さんなのだろう。名札にはAの文字。
ふと顔を上げるとバチっと目が合った。おしとやかで黒髪が良く似合う女の子だった。衝撃が走った。…可愛い。
この歳になって漫画雑誌だけを買うのが急に恥ずかしくなって、近くにあった今話題になっている本も一緒に購入した。
我ながら、単純だと思う。それからあの子がレジに立っているときは読みもしない小説と共に漫画雑誌を買うようになった。
『漫画お好きなんですか？』
「いや、これは〜その…弟のやつで…。」
『弟さんですか。一緒に購入されるなんてお優しい方なんですね。』
「あ、…ありがとうございます。」
あれ、俺…弟いたっけ？
なんとなく、あの子には知的に見せたくて毎度見栄を張っている。
『今度、ぜひ弟さんといらして下さい。待ってますね。』
「あ、はい…。」
変な約束をしてしまった。困った。
「というわけなので、弟のふりして。祐基。」
「え〜？顔似てないじゃん。」
「頼む。」
人に頼みごとをするのはそんなに好きじゃない。でも、今回ばかりはどうしようもない。
次の月曜日、祐基を連れて本屋さんへ。そして、いつものように漫画雑誌と小説を手に取る。
「…え、稜雅、小説なんて読むの？」
「色んな事情があるんだよ。」
『いらっしゃいませ。…あ。』
「…弟です。」
祐基をAちゃんに紹介した。間も無くして、Aちゃんと祐基が二人で笑い出す。
「え、なに…。」
「AA、俺の従兄弟の姉ちゃん。」
「え…。」
穴があったら入りたいってきっとこの事だ。とても恥ずかしい。
『稜雅さん、不思議な方ですね。もっと知りたいです。稜雅さんのこと。』
祐基が耳元で囁く。
「ちなみに、Aは今彼氏いないよ。」
「おまっ…。」
恥ずかしい出会いだったけど、これもまぁ、いい経験かもしれない。
end
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mami100810(プロフ) - まさん» おぉ〜！ヤバい…めっちゃキュンキュンしちゃいました(照)もし、良ければ続編をリクエストしても大丈夫ですか？最終的にはカレカノになって欲しいです！ (2019年8月7日 1時) (
レス) id: 80e4a31d29 (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - mami100810さん» リクエストありがとうございます。更新お待たせしました。要望通りになっているか分かりませんが、気に入って頂けると嬉しいです。 (2019年8月3日 0時) (レス) id: 36e2c90037 (このIDを非表示/違反報告)
mami100810(プロフ) - カイさんが転校生(無気力で気だるげな女の子)に恋をするお話が見てみたいです！ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 80e4a31d29 (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - mami100810さん» 更新お待たせしてしまってすみません。なんだか書いていてよく分からなくなってしまったのですが、気に入って頂けると嬉しいです。 (2019年3月31日 9時) (レス) id: 36e2c90037 (このIDを非表示/違反報告)
mami100810(プロフ) - まさん» 更新楽しみにしてます！ (2019年3月26日 23時) (レス) id: 80e4a31d29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ま | 作成日時：2018年11月2日 5時
