ペトリコール (ページ24)

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安堵の表情を浮かべる拓弥くんに疑問しか生まれない。

『…なに？』

「嫉妬…した？」

『あんな自然な笑顔の拓弥くん見たことなかった…。』

「ふふっ。嫉妬かぁ…。嫉妬ねぇ。」

『なんで笑ってるの？惨めだから？』

さっきからニヤニヤと口元が緩み、嫉妬という言葉を繰り返す拓弥くんに嘲笑われているようで段々この場にいるのが辛くなってきた。

『彼女いるなら言ってよ！一人で舞い上がって馬鹿みたいじゃん！拓弥くんのこと好きで好きで仕方ないのに…あんな笑顔見たら諦めるしかないじゃん！』

勢い余って拓弥くんに好きだと言ってしまった。あまりの勢いに拓弥くんもきっと引いてるだろう。

「彼女…じゃないよ。俺の幼馴染。大事な存在だけど、Aちゃんにとっての佑亮くんと一緒。たまに、俺も迎えに行ってるからそれと同じ。」

『…幼馴染…？』

「うん、そう。幼馴染。俺、彼女いないよ。」

拓弥くんのこの一言で、さっき自分が言った言葉に恥ずかしさが募る。

「俺のこと、好きで好きで仕方ない？」

『えっと、あの…忘れてください…。』

「忘れない。」

さっきと同じように拓弥くんにギュッと抱きしめられたけど、さっきと違うのは自然と手が拓弥くんの背中にそっと回っていたこと。

「俺さ、祐基からAちゃんに告白したってこと聞いてまじで焦ったし、このままくっつくんじゃないかって毎日不安だった。」

『うん…。』

「俺も、Aちゃんのこと好きで好きで仕方ない。」

『え…。』

驚いて身体を離そうとするも、すぐに元に戻された。首元にすっぽり拓弥くんの顔が埋まってる。

「ダメ。俺、いま絶対顔真っ赤だから離れたらダメ。」

さらにギュッと強く抱き締められた。

「Aちゃんが、側にいてくれたらきっと毎日嫌なこと忘れられると思う。」

『拓弥くん…。』

離された身体に少し寂しさを覚えつつ、目を合わせる。

「だから、俺と付き合ってください。」

『…はい。』

答えるように今度は私から拓弥くんに抱きついた。言ってた通り、拓弥くんの顔は耳まで真っ赤だった。