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いつからだろう…
こんなに憂鬱だった雨の日が
こんなに待ち遠しくなったのは…
『また雨じゃん…。』
テレビから流れる天気予報を確認しなくても分かるぐらい窓を叩きつける雨の音に、もう嫌気がさしてきた。
秋の雨は長く続くから嫌いだ。
傘を持って戸を開けるとさらに憂鬱が増してくる。
「あ!おはよう、A!」
『おはよう、佑亮。』
タイミング良く隣の家の戸も開き、現れたのが福田佑亮
幼稚園からの腐れ縁。いわゆる幼馴染。
『朝から嫌になるね、雨…』
「ほんと、それに今日の英語って小テストあったよね…!?もう嫌だ〜」
『私は、まぁまぁ英語好きだし別にそこまでかなぁ。』
「そんなぁ〜」
笑いながら歩く通い慣れたこの道
道の途中にある公園を通りかかったとき
それが彼を見つけた初めての日だった。
東屋にぽつんと一人座り佇む彼を。
切なげに遠くを見つめる姿があまりにも美しくて思わず立ち止まってしまった。
「A?どうしたの?置いてくよ〜?」
『…あ、ごめん。』
先を歩く佑亮を追ってパタパタと駆け寄った。
次の日も、またその次の日も彼はそこにいた。
『ねぇ、佑亮。』
「ん?」
『あの人、昨日も一昨日もあそこにいたよね?』
「どこ?」
『あそこ。東屋のところ。あの制服、隣の高校のだと思うけど、同い年ぐらいの男の子。』
「そんな毎日いた…?」
『うん…』
昨日も一昨日も…今日も、雨。
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作者名:ま | 作成日時:2018年9月18日 8時