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「これこれ!」
放課後、図書室の奥にある部屋からダンボールをもってきて広げた。
中には昨年の雑誌の数々。
欲しい人にあげたりするんだけど、その制度を知らない人が多くて結構余っていたりする。
放課後人が少なくなったら図書室きて!と言っただけだけど、松尾君はちゃんときてくれた。
「この雑誌に簡単なレシピ載ってるからよかったら」
とまで言って不安になった。
こんな時間に松尾君を呼び出して、
何これ、これだけ?いらないんだけどって言われたらどうしよう。いや言いかねない。
「……何これ」
ですよねですよね……
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「もらってええの!?」
えええ!?
思いもよらない言葉に松尾君を見ると、
ぱああと効果音がつきそうなほど全力で喜ぶ姿。
「うん、もらって!捨てるだけだし」
尚もやったあやったあ、と喜ぶ松尾君は単純にかわいかった。
「おにぎりと本のお礼に送ってくから乗って」
待ってて、と門で待たされると予想だにしなかった展開に。
大人しく自転車の荷台にまたがっててんぱっていると「落ちるで」と言われて控えめにブレザーをつまんだ。
何も言わずに走り出す自転車。
重いはずなのにそんなそぶりも見せず。
さあ、と冷たい風に揺れる髪の毛がサラサラで。
すらっとした後ろ姿も白く細い首も、本当に王子様みたいだなって思った。
「あ、お酢のやつやった?」
「……やった」
「臭わないね」
「ブレザー臭かったらあかんやろ、一応王子様キャラらしいし」
「あーそういえば文化祭でイケメンコンテストやるってきいた?」
「あれなんなん?めんどくさいねんけど」
「言うと思った」
松尾君って私にだけ黒いけど、その分松尾君の本音を知れることが嬉しかったりもして。
「あー重い」
「このタイミングで言う!?」
やっぱりかわいくない!
「ありがとね!またね!」
それでも帰る姿を見送っていると、背後から近づく足音。
「え、なに?松尾と付き合ってんの?」
「えっ!?」
「そういう趣味だったっけ」
「ちがう、委員会遅くなって送ってもらっただけでっ」
「あー、なるほどね。つまんない」
固まる私より先に私の家に入っていく。
「……イケメンコンテストのこときいた?匠海」
匠海は隣に腰掛けて「なんのこと?」と何かを察して嫌そうな顔をした。
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5 - 続きが気になります!! (2020年4月24日 1時) (レス) id: e2f7b4b683 (このIDを非表示/違反報告)
あ - もう更新はなさらないのでしょうか?( ; ; ) (2020年2月5日 4時) (レス) id: 69e88fbea1 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 続きが楽しみです!更新楽しみにしてます〜(^ ^) (2019年1月16日 19時) (レス) id: 7620beece4 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - すごく面白かったので更新楽しみにしてます! (2018年12月24日 12時) (レス) id: 1ea4876c06 (このIDを非表示/違反報告)
かいら(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってくださいー (2018年6月18日 13時) (レス) id: f9d0a6bd90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:plum ne | 作成日時:2016年11月3日 23時