６ ページ6
.
「えー！ぼっち飯！」
「仕方ないでしょ、忙しい時期なんだから」
お馴染みの友人は、生徒会が忙しくお昼も仕事しなければいけないと荒々しく告げた。
「なんでぇ、どうすれば……」
トボトボ弁当を抱えて校舎の周りを徘徊する。
一人でご飯だなんてつらすぎ。
せめて誰もいないところでぼっち飯だ……
とりあえず人気の無いような所……
非常階段を通り越して辺りを見回していたら前方不注意で、何かに躓いて派手にコケた。
「いたい！！！」
「なに！？」
後ろから聞こえた声に振り向くと足をさすりながら不機嫌な顔の松尾君。
「安眠の妨害せんといてくれるかなぁ」
「ごめん……」
でもなんでこんなところで寝てんの、なんて思いながら弁当を抱え直して……ん？弁当？弁当がない。弁当……
「弁当ー！！！！」
数メートル先に吹っ飛ばされていた弁当。
「うるさいなあ……」
松尾君の毒もまったく耳に入らず弁当箱を開けてみると、ぐちゃぐちゃだけどなんとか大丈夫そう。
「……なに、友達おらんの？」
「友達はおります！」
「そういう意味とちゃうわ」
「……生徒会が忙しくてぼっち飯なんですぅ」
「ならここで食べれば？」
「いいの！？」
思っても無かった言葉。
「一人で食べるよりはええやろ」
「なに？優しくて怖いよ」
じゃあ教室でぼっち飯どうぞ、と笑う松尾君はやっぱり優しくない！
「いただきます」
ぐちゃぐちゃだけど気にせずパクパク食べていると隣から感じる視線。
「なにかな」
「たまごやき食べたい」
「いいけど、こんなだよ」
恥ずかしげもなくぐちゃぐちゃな弁当箱を差し出すと、松尾君はなにも言わずにたまごやき(だったもの)をつまんで口にした。
「……おいしい」
「ありがとー」
「先輩つくったん？」
「そうそう、弁当と朝ごはんは私の仕事なの」
「俺も一人暮らしやから料理たまにするけど野菜炒めしか作れない」
「一人暮らしなの？」
「学校指定のアパートやから寮みたいなもんやけど」
「そうなんだ〜」
松尾君みたいに遠くからきている人は多いから、特に気に留めず大変だなあとは思いながら箸を進めた。
「松尾君明日もここにいる？」
「……」
「明日もこよっと」
諦めなのかつっこむのも疲れたのか。
松尾君はうんともすんとも言わなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yumi(プロフ) - 腹黒タカシくん良すぎます！！更新待ってます！ (4月30日 23時) (
レス) id: 28b0b9cda3 (このIDを非表示/違反報告)
5 - 続きが気になります！！ (2020年4月24日 1時) (レス) id: e2f7b4b683 (このIDを非表示/違反報告)
あ - もう更新はなさらないのでしょうか？（ ; ; ） (2020年2月5日 4時) (レス) id: 69e88fbea1 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 続きが楽しみです！更新楽しみにしてます〜(^ ^) (2019年1月16日 19時) (レス) id: 7620beece4 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - すごく面白かったので更新楽しみにしてます！ (2018年12月24日 12時) (レス) id: 1ea4876c06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：plum ne
| 作成日時：2016年11月3日 23時
