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幼稚園の頃、だいちゃんと交わした約束。







“ わたし、おっきくなったらだいちゃんとけっこんする!! ”






“ ほんま?じゃあやくそくな! ”






「 ねえ、覚えてる? 」



「 あ?なにが 」





なんとなく、ずっと避けてきた話題。




いや、怖かった。



忘れた、と言われるのが。



でももう、いつまでも彼を好きなままでは前に進めない。





「 幼稚園の頃さ、桜の木の下で 」



「 あ、ちょ、ごめん 」





絶妙なタイミングでだいちゃんの携帯がなった。


電話に出ただいちゃんは、なにやら少し焦ったような顔して

わかった、とだけ言って電話を切る。





「 なんか会社でトラブったみたいで

すぐ行かなあかんわ、ごめんな 」



「 そっか、ううん気にしないで 」





もうちょっと一緒にいたかったな、

なんて図々しいこと思ったり。



急いでコートとマフラーをして、鞄を持って立ち上がる。


そしてまた、ほんまごめんな、と手を合わせる彼。





「 いいよいいよ、早く行きなって 」





わたしがそう言うと、お金だけテーブルに置いて

ばたばたとお店を出て行ってしまった。



だいちゃんの出て行ったお店は、急にしんとなって

少し寂しくなる。







結局、聞けなかったなあ。



あの約束のこと。





でも、心のどこかでほっとしている自分がいた。


実を言うと、まだ少し怖かったから。





「 覚えてるわけ、ないよね 」



「 なにを? 」





独り言をぽつり、と漏らした瞬間

頭の方から聞こえた声。





「 神ちゃん、びっくりしたじゃんもう 」





顔を上げると、さっきのエプロン姿とは打って変わって

相変わらずの奇抜な私服に着替えた彼がいた。



ごめんごめん、と笑いながらさっきまでだいちゃんの座っていた場所に座る。





「 もうあがり? 」



「 おん、はよ行こうや 」





毎日、仕事帰りにこのカフェに立ち寄る私。


神ちゃんとは偶然にもマンションが一緒で、しかも隣同士。



それに気づいてからは、神ちゃんの仕事が終わると

一緒に帰るのが当たり前になっていた。





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こめ(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!頑張ります!!どうなるでしょう、、笑 (2018年7月16日 20時) (レス) id: 08654cd8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 続きがとってもなるので更新待ってます!!そしてできれば重と結ばれたらな…と願っております笑 更新頑張ってください!! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 230d6eb88b (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - しょあさん» コメントありがとうございます!!更新頑張ります! (2018年7月12日 0時) (レス) id: 08654cd8de (このIDを非表示/違反報告)
しょあ(プロフ) - 続きが気になって仕方ありません!更新楽しみにしてます! (2018年7月5日 17時) (レス) id: a32bcb43cc (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - Sさん» ありがとうございます!!嬉しいです!そのお言葉を頑張る源にして頑張ります!! (2018年7月2日 22時) (レス) id: 08654cd8de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめ | 作成日時:2018年2月18日 23時

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