初恋【赤】

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“ 俺はずっとAが好きやったから ”






まっすぐな目でだいちゃんが発したその言葉の理解ができなくて

しばらく固まってしまう。




ふと、昔の言葉を思い出す。





“ 俺は結婚したくなくてもさせられんねん ”





中学生の時に彼が言っていた言葉。





「 こんなこと、今更言われても知らんよな 」





悲しそうに笑うだいちゃんを見て




わたしが辛い思いしてる間に






彼も同じように辛い思いをしてたんだという事に気づく。







でも、だからってなに？






彼は私のことを好きでいてくれる前に、結婚してしまっている。



どうしたらいいのか分からず





「 ごめん、今日はもう帰るね 」





とだけ言って帰ろうとする。



頭の中がパニックで何も考えられない。





「 、わかった 」





だからそんな子犬みたいな顔してこっち見ないでよ。





私だって出来ることなら貴方と一緒にいたい。





「 じゃあ、ね 」





だいちゃんに背を向けて、歩き出した瞬間





「 これだけっ、言わせて 」





今度は腕ではなく、手を掴んできた。



そのままくるっと、回転させられてまた彼の目の前へ。





「 俺、本気やから

ほんまに好きやから、Aのこと 」





あまりにも真剣な目でそう言ってくるから


心臓が飛び出そうになりながらも





「 誰も疑ってないよ 笑 」





つい、いつもの感じで笑って返す。





「 あ、ごめん笑うとこじゃないよね 」





反省しながらも


ちらっとだいちゃんの顔を覗くと





「 ほんまやで 笑

なに笑てんねん、ムード壊しやがって 笑 」





いつもの笑顔の素敵な彼に戻っていて。



それと同時にいつもの私たちに戻る。






「 ま、この感じの方が落ち着くわ 」





その言葉さえ嬉しくてたまらない。





「 送ってくわ 」





いろんな感情を込めて





「 ありがとう 」




と言った。





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