初恋【赤】

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「 だいちゃんっ、！ 」





神ちゃんに行けと言われて、必死に彼の元へ走って行くと


入り口のところで携帯をいじるだいちゃんの姿。



私が名前を呼ぶと


またいつもの様によっす、とだけ言って


こっちへ近づいてくる。





「 ごめんな急に、大丈夫やった？ 」





大丈夫、ではない。


神ちゃんには本当に申し訳ないことをした。




それでも私は





「 ううん、全然大丈夫だよ 」





なんて笑ってみせる。


すると彼もそっか、と言って笑い返してくれる。




だいちゃんとお祭りなんて、夢みたい。


小さい頃はよく行ってたなぁ。





「 なんか食べる？お前はたこ焼きやろ？ 」





自分の好きな食べ物を把握してくれてる。



幼馴染だから当たり前かもしれない。





でも私はそれだけで嬉しくてたまらないんだ。





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「 はぁーっ！楽しかったね！ 」



「 せやなあ、お祭りなんて久しぶりやったわ 」





お祭り会場を後にして、二人で電車に揺られる。




菜摘さんとも、来てなかったんだ。






じゃあ、なんで私と？






頭の中がハテナでいっぱい。





彼の気持ちが知りたくて。




この心のモヤモヤを消したくて。





「 なんで、今日私を誘ったの？ 」





勇気を振り絞って言ったその言葉は


電車の音でかき消される。





「 ん？なんて？ 」





こっちに顔を近づけてくるだいちゃん。



胸の高鳴りが抑えられない。





「 ううん、なんでもない 」





なんてへらっと笑ってみせる。


私はどうしようもない弱虫。





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