初恋【赤】

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カステラを奪われたAは、隣で何やらわーわー騒いでる。


気にせずに一人でカステラを頬張りながら、先に足を進めていると





「 ねえっ、一個ちょーだい！ 」





なんて横からひょっこり可愛い顔だしてくるから





「 ずる、 」





一気に熱を帯びた顔を必死に腕で隠す。





「 なにが？ 」





いつだって君はこれだから困る。




こんな可愛いことを無意識にやるんやから、ほんまにずるい。



俺やっていつも冷静な態度保つのかなり苦労してる。




でも今日はさすがに耐えられへんかった。





「 ねえ、なにがってば、どうしたの？ 」



「 うるさいねん、この野郎 」





顔を見られないように


そう言いながらAの口にカステラをねじ込む。



そしてその後に重大な事に気づく。





「 あ！ごめん、それ食いかけや 」



「 別にいいよ、神ちゃんなら 」





君が笑って言うその言葉だって


嬉しいようで悲しい。





あの男にやられたら顔を真っ赤にさせて、照れるんやろ。





あの日、Aがカフェに連れて来た男。



Aを側で見てたら、あの男が好きってことなんてすぐわかる。





「 おいしいね、神ちゃん 」





このまま、ずっと俺の隣で笑ってて欲しい。





そんな事思っても無駄なのに。





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