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「これで大丈夫です」
ヤギや温室の管理をしていたAにクロムが様子を見に入ってくる。
「ヤギに何飲ませたんだA?」
「酔い止めだよ、動物も船酔いするから」
クロムは大丈夫かと尋ねるAに海の民を舐めんなといつもの様に元気な姿を見せる。
「おぉ、こんな話してる場合じゃねぇ千空が呼んでんぜ、操縦室に集まってくれだとよ」
「えっ?」
呼び出すなら伝声菅を使えばいい。
温室にも設置されているのにわざわざクロムに何故呼びに来させたのかAは首を傾げながら温室から出る。
「わっ!!」
「!?」
温室は他の場所よりもヤギのストレス軽減のために揺れにくい様に作られていたため快適だったが、甲板に出るともろに船の揺れを感じ、Aは足の怪我もあり踏ん張る事が出来ずクロムに向かって倒れてしまう。
「大丈夫か!?」
「っー…ありがとう」
Aの腕を咄嗟にクロムが掴んだおかげで盛大に転ぶ事を間逃れる。
「一回離すぞ」
クロムは一度体制を整えさせるために腕を離してAを甲板の上で座らせる。
「怪我してねぇか」
「うん、クロム君のおかげで…」
何度かクルーズ船には乗っていたので船の揺れは経験してるが…帆船となるとここまで揺れるのかと思い知らさせる。
力のあまり入らない右足では正直何かに掴まらないとまた盛大に転んでしまう。
「ごめん…クロム君腕に掴まってもいい?」
「おう」
クロムは手を差し出してゆっくりとAを立たせるが、離すとすぐにフラつくAを見て咄嗟に腕をガシッと掴む。
「おお…結構やばくねぇか」
「う、うん…ごめん」
「俺は別に構わねぇけどよ…」
よく一人で温室行けたなとクロムはいつ倒れてもおかしくないAを心配しながら一緒に甲板を歩く。
もしクロムがいなかったら操縦室にたどり着くまでに何度転んでたか…Aはクロムの腕に捕まりながら呼びに来てくれた事を改めて深く感謝する。
階段までくれば手摺りがあるからとAはクロムの腕から離れ手すりに持ち帰る。
「行けっか?」
「うん、ありがとう」
甲板だけは一人で行くのは控えるとAは遠回りしてこれからは温室は行き来する事を誓う。
「すみません…遅くなりました」
操縦室へとクロムとAが入ってくると、先程の甲板での様子を見ていた羽京はヘッドフォンを外しAに駆け寄る。
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クリーム(プロフ) - 月依さん» ふぁぁ。゚(゚´ω`゚)゚。コメント嬉しいですありがとうございます (12月20日 18時) (レス) id: 58b85f6ce7 (このIDを非表示/違反報告)
月依(プロフ) - 一言しか言えない…てぇてぇ…(作者さん、更新頑張ってください!養分をありがとう!!) (12月19日 14時) (レス) id: 65959ed73c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クリーム | 作成日時:2023年12月16日 10時