君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ8)

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Aは昔よく作っていた猪肉のスネで作る肉団子のレシピを教え、先ほど渡した出汁を入れたら美味しいと思うとクロムに伝える。
「おぉ…」

いつもよりよく喋んなとクロムはソワソワしているAに戸惑いながらも礼を言う。

「あとはもうねぇか？」
「………う、うん…」

長話をしていたら羽京が来てくれると思っていたが、こちらに気づいているのに来てくれない事や、探索に行ってくると言う報告もしてくれない事にAは寂しそうに頷き、長く引き止めた事を謝る。

「お、おう……行ってほしくねぇのか」
「えっ……」
「なんつーか、ガキの頃ルリ思い出した」

ガキの頃遊びに行く俺らを引き留めたくてルリが百物語を申し訳なさそうに話したりする時のあの感じと似てたと言われAは驚く。

「帰ってきたら沢山探索の話してやっからよ！」

ルリが喜んでくれていた事を思い出し、同じ台詞をクロムはAに伝える。

「…うん、ありがとう」

無駄な気を使わせてしまったとAはクロムにお礼を言って、羽京達の元に走るクロムをその場で見届ける。

「Aと何を話してたのだ？」
「あー、欲しい薬とか」

Aにも男のプライドがあるだろうと思い、クロムは寂しくて引き止められていたとは言わずそう誤魔化した。

「それじゃあ行こうか」
「いいのか？Aに声をかけなくていつも声をかけているだろ」

出発前に必ずしている事だと気づいていたコハクは羽京に尋ねる。

「うん、クロムが必要な薬草を聞いてくれたみたいだし」
「そうか…」

視力のいいコハクにはAが恋しそうに羽京をジッと見つめているのがよく見えていた。

いつもなら入り口までAが見送りに来るが、龍水に話しかけられAは龍水に体を向けているが、足はこちらに向いているのが見て分かる。

「行こうコハク」
「あぁ…」

羽京に声をかけられたコハクも体の向きを変え歩き出すが、あの時のAの寂しそうな瞳が気になり羽京にもう一度確かめるように声をかける。

「…いいのか、Aに一言声をかけなくて」

もう一度コハクは振り返りAを見ると体は龍水に向けているが、目は明らかにこちらを見ており、縋る様な目で自分達をAが見ている事に気づく。

「龍水と話しているしわざわざ邪魔したら悪いでしょ」
「…そうか」

羽京がそこまで言うならとコハクはAがジッと自分たちが見えなくなるまで見つめていた事は黙って探索へと向かった。