君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ42)

今日:10 hit、昨日:8 hit、合計:10,931 hit

42 ページ42

「そうだよ、千空A結構いっぱいいっぱいなんだから」

「だったら羽京、てめぇが手伝ってやれ。英語の説明書の翻訳ぐらいなら簡単だろ」

何を言ってもAの仕事量は変わらなさそうだなと羽京は苦笑いを浮かべそうさせてもらうよと諦める。

「アイツには自信を付けさせてぇ」
「自信？」
「幼少期の周りの扱いかなんかで不信家になってんだ」

それを聞いて南はそうでしょうねと呟く。
最年少天才医学生で有名になった時南はAの取材を行ったことがあった。

「原子爆弾の父のその孫って、理由だけで不便したんじゃあないのよ」

Aの過去も知っている南は気の毒そうに話す。

「どこの業界でもよくある話だけど…〝嫉妬よ〟ようやく入れた名門大学のトップがまさかの自分たちよりも倍近く離れてる〝年下〟だれも認めたくなかったんでしょうね」

その大学へのインタビューしに行ったときは皆誇らしげに自分たちを語っていたが、Aの事になると辛辣になっていたと話す。

「悔しいのは分かるけど…わざわざ相手の評価を下げる様な発言(ウソ)は記者として許せない」

南がその時に聞いたAの性格と、こうして実際に会って知った性格とは真逆だった。

誰かのためにいつも一生懸命行動してるヘタレで気の弱いAを南は知っているからあの時のインタビューを思い出すだけで虫唾が走る。

「あの子は誰かのためにただ一生懸命勉強をしてきただけじゃない…」

いろんな事に詳しいのはそれだけたくさんの本を読んだからだ。

『人として未熟な医者』

『勉強しかしてこなかった未熟な人』

「同じぐらい一生懸命勉強して来た人にとって、Aちゃんの存在は辛かったんだと思うよ」

「でも！！」

それでも許せないと加害者を庇う様な事を言うゲンに南は不満そうに声を上げる。