君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ4)

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探索から戻ったクロムと、ヤギの捕獲に出ていたコハクと羽京が千空と一緒に治療室で待機していた。

「おぉ！なんかすげぇ量持って来たな！？これもパン作りに必要なのか？！」
「これはもう期限が近いから持ってきただけだよ、でもパンと食べたらきっと美味しいよ」

猪の瓶詰めを見てあのとき作った肉瓶かと懐かしそうにクロムはAと和気藹々と話す。

それを横目で見ている羽京に龍水は気づき、フッンと1人で笑う。

「ヤギを捕獲してミルクとやらを瓶の中で振ったが、これでいいのか？」

ヤギのミルクを瓶に入れ、コハクが人力で振りまくりミルクの中に含まれる乳脂肪集めバターを完成させていた。

「はい、心より御礼申し上げます。これでパンの材料は揃いましたので始めさせていただきます」

パン作りを皆で見学し、村の人達だけでも作れる様にAはフランソワの説明通りにレシピを分かりやすく書いていく。

「分かり…ますかね？」

イラストで材料の計り方やなどをAは絵に描いて、村の人達に見せて丁寧にレシピを作成する。

「ありがとうね、助かるよ」
「字を覚えてない私でも分かるよ」

村の人達にお礼を言われ子供の様に頭を撫でられ少し照れ臭そうにしているAの姿を見て羽京は微笑む。

「A様はとても多才な方ですね、人柄も申し分ない。七海財閥を復興するのに絶対に欲しい逸材ですね」

「あぁ、分かっている。奴は誰かのためならより強く輝く、絶対に欲しい」

他にも石神千空もどうしても欲しい逸材だとフランソワは目を光らせる。

「あぁ、俺は世界一欲しがりな男だからな」

そんな2人の会話を耳にした羽京は胸をざわつかせていた。
人財としてなのか、それとも特別な意味で龍水がそう言っているかで大きく意味が変わってくる。

完成したシュトーレンの一つを龍水がフランソワから受け取りレシピを書いているAに渡す。

「貴様の分だA受け取れ」
「えっ…丸々一本？？」

皆んなよりも多くシュトーレンを頂いていることに気づきAは龍水に返却するが、仕事にたいしての対価だと言ってAを困らせる。

「ボクは別に何も…」

レシピの作成や食料管理など、他の者にはできない仕事をしている特別ボーナスだと通貨まで差し出されAは戸惑っていたが、貰えるものは貰っとけと千空に言われ戸惑いながらも受け取る。