君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ19)

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「Aがスモモが好きだって言えたのは、羽京がAに渡したからだぜ」
「えっ…」
「アイツにとってスモモの味なんかより、羽京が自分のために取って来てくれたスモモって事が大事なんだと思うぜ」

そう言って木からクロムが降りて僕の前に立つ。

Aが食に関心が持てないのは記憶力の問題で、でもスモモだけはハッキリと好きだと言えた理由をクロムは鉱山で起きた出来事と一緒に教えてくれた。

「どんなスモモでもよ、Aにとったら羽京からのスモモはすげぇ甘くて嬉しいスモモなんだとよ」

その熟してないスモモでもな、と僕の持つスモモを見てクロムははっきりと言う。

「味はイマイチ思い出せなくてもよぉ、もらった時の事や羽京と食べた時のことを思い出すとAはすげぇ嬉しくて美味しかったって思えるんだと」

「！！」

「だからよぉ、羽京が渡してやれよ！その方がAはぜってぇ喜ぶ」

「まだスモモを取ってたのか？早く戻るぞ」

木に生えていたAが必要だと言っていた植物を取りに行っていたコハクは、Aが寂しがっているのだからと言って木から降りてくる。

「行く道中ずっと羽京貴様の事を恋しそうに見ていたぞ」
「えっ…」
「いつも声をかけているのだ。当然だろ」

なぜ声をかけてやらなかったとコハクはAがかわいそうだと言って羽京を責める。

気づかなかったと言う羽京にコハクはため息を吐く。

「まぁいいじゃねぇか、スモモ渡したら喜ぶだろ！最近A元気ねぇだろ？羽京からのスモモ貰って食えば元気になるって！ぜってぇな！」

そう二人に言われて村に戻ると、龍水とAがまた二人で話してた。

「なんか最近アイツら二人で話してる事多いな」

Aの表情が暗い…何かあったのかな…
龍水にまた相談に乗ってもらっているのか…
龍水も真剣な顔で…

龍水に軽く背中を押され、僕らの元にAが駆け寄ってくる。

「…おかえりなさい」
「ただいま、龍水とお仕事？」
「えっ…いやっ…そう言うわけでは……そ、相談に乗ってもらっていて…」

いつもよりAはよそよそしくて顔も合わせようとしない。
相談ってなんだろう…僕には相談できない様な事なのか

「そうなんだ、龍水は頼りになるからね」
「えっ…あ、っはいっ…そ、のっ…」

特に話す事はないのかAは何か会話がないかと必死に探してる。